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うみねこのなく頃に 考察 境界より視やる

PCゲーム「うみねこのなく頃に」の個人的な考察ブログ。「キコニアのなく頃に」についてもガッツリやっている。


推理の定石、ゲームの定石

 本日、2連投の一本目。


 推理の定石と言えば、消去法だろうか。
 可能性を全てあげ、そこから可能性がないものを消去していき、最後に残ったものが真実。
 うみねこでもこの消去法を使った人は多いのではないかと思う。

 だがこの消去法には弱点が存在する。


 一つ目は、全ての可能性を完全に網羅しているのか。
 抜けが存在すれば、消去できなかった可能性が残り、それが致命的となる。

 うみねこではその可能性が多すぎる。
 一度に全ての可能性を一式揃えられるのは一部の天才だけ。
 常人なら思い付き易い可能性から一つずつ挙げていくことになるだろう。

 その“思い付き易いものから”というのが不味い。
 何個で終わりなのかもわからない状況で、いつ思考を終えるのか?
 これで十分だろうというところで切り上げるしかない。

 つまり、人は思い付き易いものを揃えたことに満足してしまい、それ以上の思い付き難いものを得ることができない。

 よって、読者の推理と対決する出題者は、読者が思い付き易い可能性を用意し、本当の真実は思い付き難い方に隠せばいい。


 二つ目は、消去したものが本当に消去できているのか。
 完全に消去できていないのに、消去できたと思い込むことは、正に致命的。

 うみねこは連載形式。
 なので、情報が足りずに可能性が絞れないと判断した時、次のゲームで新情報を得て可能性を搾れば良いと考えがち。
 ひぐらしの経験からもそうしたくなるだろう。

 けれどそれが間違い。
 ひぐらしとは違い、うみねこでは明確な対戦者が存在するのだ。
 ひぐらしでの敵はゲーム盤を俯瞰する存在を知りえなかった。
 しかし、うみねこでの敵はゲーム盤を俯瞰しながら行うゲームを意識して作り上げた。

 出題者が謎を出し、それに対して読者は推理をする。
 そして、その推理を見て、出題者は次の一手を指す。

 可能性を絞るための“新情報”というのは、出題者が読者を攻めるための“一手”。
 何も考えず“新情報”を丸呑みにするのであれば、そこに嘘という毒を混ぜるのは容易いことだ。

 それはつまり、消去法にとって最も重要な消去をする部分を、対戦相手に委ねたということ。
 生殺与奪の権利を対戦相手に与えたも同然なのだ。



 たぶん皆、対戦方式の推理ゲームに慣れていないのだろう。

 ミステリーが作者と読者の勝負だと言っても、普通のミステリー小説はひとりでする詰将棋のようなもの。
 一人用のゲームで、相手の手は自分が想定する最善手を打ってくる。

 対戦ゲームで自分の期待する手を相手が打ってくれる?
 そんなわけないだろう。
 それじゃあ一人遊びと変わらないじゃないか。
 こちらが想定しない手を打ってくるから対戦ゲームは面白いのに。


 詰将棋的ミステリーであれば、消去法は定石と言える。
 だから敵手はその対策を研究したのではないだろうか。

 チェスや将棋といったゲームは、時代によって定石が変わる。
 それは定石が研究されてきたということだ。

 つまり、連載方式の対戦型推理ゲームをやるにおいて、その消去法対策が新しい定石となりえるものだったのではなかろうか。

 というか、“探偵が推理することを組み込んだトリック”はすでにミステリーの歴史で幾度も使われている。
 作中でヱリカが少し言及しているように。

 『金田一少年の事件簿』でも幾つか登場したはず。
 真犯人の身代わりにスケープゴートを犯人に仕立て上げ、最後には自殺に見せかけて殺す。
 まぁ、使い古された手だ。
 他にも最も疑わしい者の冤罪を晴らすために推理したが、実は……みたいな裏の裏とか。
 表、裏、そして裏の裏。
 “探偵が推理することを組み込んだトリック”はそれらを意識しなくてはならない。

 探偵が推理する、なら探偵が推理することを前提としたトリックを考える。
 極自然な流れ。
 そういうことが積みあがって新しい定石が作られていくのではないだろうか。


 EP1を一手目、返す推理で二手目、次いでEP2で三手目……と数えると、EP8で15手目、その返しの推理で16手目。
 そこまで想定してうみねこは作られている。
 勿論、ガッチガチに決まっていたわけではなく、ある程度フレキシブルに対応できるようにはなっていただろうが。

 どれだけの工夫を詰め込んだのか。
 その意気込みのほどを伺えるというものだ。


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  1. 2019/05/11(土) 19:48:26|
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フラット・ホームズ

Author:フラット・ホームズ
「うみねこのなく頃に」の某公式サイトで推理を投稿していた。
その時使っていた名前は察してください。
スタイルは、アンチミステリーをチェス盤で引っ繰り返す、というもの。
キコニアでは、世界を箱庭に見立て、そこにどんな駒を置いたのか、それらを動かして最終的にどういう形に持って行くのか、的な感じのを主にやっている。

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