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うみねこのなく頃に 考察 境界より視やる

PCゲーム「うみねこのなく頃に」の個人的な考察ブログ。「キコニアのなく頃に」についてもガッツリやっている。


愛ある動機/永遠の拷問

 三本目。

 EP8で提示された、心理学の観点による男・女・無差別殺人者の動機。
 これを真犯人に重ね合わせて考察したい。


 まずは男から。
 “地位や名誉のため、そして恋人を永遠に自分のものにするため”。
 ならば、真犯人に被害者たちへの愛はあったのか?

 この愛の証明は簡単だ。
 真犯人は物語の執筆者であり、物語には何でこんなに知っているんだ、と言わんばかりに、被害者が抱いている苦しみが綴られている。
 そこから真犯人がどれほど被害者の苦しみに寄り添っていたのかが伺える。
 そんなにも愛していたのかと、それに比べると他の登場人物は他人の苦しみにそこまで寄り添っていない。
 真犯人に向けられる愛など皆無だ。

 故に、この殺人は典型的な男の動機に当て嵌まる。
 愛する者たちを殺し、その魂を黄金郷へ迎え入れて、自分だけのものにする。


 次は女の動機。
 “自分を束縛する存在から逃げるため”。
 では、真犯人を束縛するものとは?

 これも愛だ。
 全てを捨てて六軒島を出て行きたい。
 だがそれを愛が邪魔をする。
 愛する者たちへの未練。
 愛する者が住まう黄金郷が邪魔なのだ。
 即ち、自分の魂を構成する自分以外の存在を壊す。


 最後は無差別殺人者。
 “多くには自殺願望があり、死に値する自分を故意に作り出して、生にふんぎりをつけるために殺人を犯す”。

 これを男の動機に合わせれば、愛する者たちを殺した自分は罪深いので自分も死ぬ。
 即ち、心中となる。

 だが、女の動機にも合わせられる。
 愛する者たちを殺すもう一人の自分は死に値する。
 故にもう一人の自分を殺すことができる。


 それが八城がベアトを殺した動機である。


 だがその後、八城は偽書を作ることになる。
 それはベアトを蘇らせるためだろう。

 自分が殺したから、自分ではそれができない。
 自分自身に魔法を掛けるのが一番難しいから。
 世界を作るために、世界を蘇らせるために、もう一人が必要。
 偽書をネットの海に流すことでそれを得る。

 未来の魔女は過去の真実を書き換える。
 それを利用して黄金郷を蘇らせる。
 引き換えに、自分の真実、自分の魂が殺されることを知りながら。

 失われた愛を蘇らせるために、自分を殺す。
 それが八城が偽書を執筆した動機。


 全ては愛ゆえに。



 こうなるとゲーム盤での殺人も違って見える。
 頭の中でゲーム盤を作ってそこで駒を何度も殺しているわけだが、それはその死を赤き真実で自分に刻み付ける行為に見える。

 ニンゲンの駒は煉獄を潜り抜けて、ようやく黄金郷に迎え入れられる。
 魔女は赤き真実でその様子を魂に刻み付ける。

 自罰的な自傷行為。
 死に値する自分になるために、自分に無限の死を刻む苦行。
 自分の心を殺す。
 だが、思考停止は許されない。
 愛に殉じ死に至る道を歩む、まるで殉教者のよう。
 ……これが永遠の拷問なのか。
 いっそ一思いに殺してやれ。

 6年にも亘り、こんなことを? 絶対の意志で?
 6年“しか”などと誰が言えるのか。
 6年“も”でも軽すぎる。
 6年が千年に感じる。
 知らなければ、“千年”は取って付けたかのような軽い言葉に聞こえる。
 だが知れば、“千年”という重さに押しつぶされそうだ……。

 真実に耐える地獄とはこれのことか。
 自分が誰かも判らなくなりそうだ。
 言葉にならない……。
 想像したくもない……。

 その間、戦人は帰ってこなかった。
 何て罪深いんだ、お前は……。



 でも、この物語の最後、私はハッピーエンドに見えたから。
 魂は救われたんだよ……。


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  1. 2018/09/22(土) 23:57:22|
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プロフィール

フラット・ホームズ

Author:フラット・ホームズ
「うみねこのなく頃に」の某公式サイトで推理を投稿していた。
その時使っていた名前は察してください。
スタイルは、アンチミステリーをチェス盤で引っ繰り返す、というもの。
キコニアでは、世界を箱庭に見立て、そこにどんな駒を置いたのか、それらを動かして最終的にどういう形に持って行くのか、的な感じのを主にやっている。

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