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うみねこのなく頃に 考察 境界より視やる

PCゲーム「うみねこのなく頃に」の個人的な考察ブログ。「キコニアのなく頃に」についてもガッツリやっている。


入水自殺と魔法・手品エンド

 並び立つ真実の内のひとつ、黄金の真実。
 それは猫箱の中でしか生きられない。
 なぜなら猫箱に閉じ込められなかった場合、幻想が成り立つ基盤が失われるからだ。

 1986年の親族会議の日に紗音にプロポーズすると譲治が決意したら、紗音はプロポーズを受け、そして嘉音は六軒島をでてしまう。
 そうなればヤスの幻想は成り立たず、別の黄金の真実に代えなければならなくなる。

 つまり、猫箱に閉じ込められた二日間の六軒島は、黄金の真実であるヤスが生きるために作られた世界と言っても過言ではないだろう。


 それを踏まえて件の入水自殺を解釈してみる。


 六軒島からの脱出。
 それは猫箱からの脱出だ。
 猫箱に閉じ込められた二つの真実。
 赤き真実と黄金の真実。
 出せば黄金の真実は消え、赤き真実だけが残る。

 戦人=読者とする。
 戦人はベアトと共に島を出て共に生きようと言った。
 それは六軒島で得た答えを明確な形で明らかになって良いだろうということ。
 得た答えと共に生きようということ。
 ベアトリーチェという答えが、六軒島で得られた宝だからだ。

『お前に罪があるなら。それを犯させた俺にも罪がある。……だから、お前の十字架は、俺たち二人で背負おう。』

 これは読者の推理の中で、犯人が罪を犯したことを指すと見ることもできる。
 推理で導き出した犯人は推理した者の心の中にだけいて、現実にいる犯人とは同一でありながら別人なのだ。
 推理の中で犯人が犯した罪は、推理した者の責任である。
 推理する者には、自身がした推理に責任を持たなくてはならない。

 だから猫箱から出よう、と。


 目を閉じてのキスは、推理が結ばれたことの暗示。
 目を閉じている時に確かにいたベアトが目を開いたら消えてしまったのは、いざなぎが冥府からいざなみを連れ出そうとしたことを連想させる。

 目を開けた光の世界は生きる者の世界で、「うみねこ」においては現実の世界。
 目を閉じた暗闇の世界は死んだ者の世界で、「うみねこ」においては幻想が存在することを許された魔女の闇。

 目を開けたから幻想は消え去った。
 得たはずの真実は幻想の存在であるという証だ。


 そもそも黄金の真実を本当の真実と思い込ませようという魔法は、幻想を真実としようとする試みだ。
 それは同時に、本来なら真実であるものを幻想の存在にするということでもある。
 要するに、現実に存在するベアトは、自身が幻想の存在になる決意をしていたということだ。

 そう見ると、ベアトが海に飛び込んだのは、自身の片割れたる黄金の魔女と共に心中しようとしてのことと解釈できる。

 愛されることを願っていたくせに、自身が愛した黄金の魔女ベアトリーチェと共に死ぬ。
 これは三角関係と言えばいいのかな。

 戦人に愛(推理)されることを願っていたが、6年の間に戦人のために生み出した謎であるベアトリーチェを愛して(謎として作って)しまった。
 愛されるために、愛を込めて謎を作った。
 それがいつか手段と目的が入れ替わった。
 愛を込めて作った謎のために、愛してもらおうと。
 黄金の魔女を愛してしまったのだ。
 それと心中するほどに。


 猫箱を出て生きるとは、己が片割れを忘れろということだ。
 現実のベアトは幻想のベアトリーチェを裏切れない。
 だから海に飛び込んだ。

 戦人(読者)視点だと、
 プレイヤーは魔女の闇の中を推理し、その果てに確信に至った感触(キス)を得て結ばれた。
 だが真実は幻想の世界へと逃れ、目に見える形の真実を得るできなかった。
 それでも手に入れたはずの真実を手放したくないのであれば、幻想の世界の中に飛び込んで追わなければならない。
 戦人はそれを追った。

 一度掴んだ後に光の世界と闇の世界に引き離されたのは、これもまた生きる世界が違うという暗示。
 なのでその後にベアトに追いついた戦人は、現実の存在ではなく幻想の存在。
 推理をしたプレイヤーとしての読者といったところか。

 さくたろうは真里亞の駒だが殺し方は二つある。
 ひとつは依代を壊すこと。
 もうひとつはプレイヤーたる真里亞の死。
 これはさくたろうに対する興味の喪失と言っていい。
 プレイヤーとしての死が、即ち駒の死。

 読者と犯人の関係もそれだ。
 駒たる犯人の死は、プレイヤーたる読者の死である。

 プレイヤーたる読者が駒たる犯人と運命を共にする。
 幻想の生きる世界、猫箱の中に。
 正解したか間違ったかそれすら定まらぬプレイヤーとして猫箱の住人となる。
 忘却の深淵の底でいつか消え去るその時まで、ひとつに寄り添うのだ。


『フェザリーヌは、その海に一輪、黄金の薔薇を放る。
 静かに眠る猫箱への手向けとして。
 その黄金の薔薇の物語をもって、……この長かった物語のピリオドとしよう。』


 この入水自殺の物語は、全てを捨てた八城十八が、猫箱の中に残った嘗ての己とその最愛の片割れの魔女に向けた手向けの花。

 答えを明確にせずに終わるが故に、現実を生きる読者には顧みないで現実の世界に返って欲しい。
 一度でも追ってきてくれるなら、それは存外の喜びである。
 だから孤独に消えてもかまわないのだ、と。
 そう思っているであろうベアトに、本当に望んでいた願いが叶ったことを伝える、

 ――――黄金の真実。



 自説と永遠を共にすると誓えるほど信じることができたならば、それは“結ばれた”と認めることができる。
 その時、自説を信じることができるのは、それまでの推理の道程があるからこそだろう。

 推理の結果に得られるのが真実であるのなら、それまでの推理の過程こそが愛である。
 愛がなければ視えないのに、赤き真実で目に見える形にしてしまえば、愛がなくても見えることになる。
 それではもはや愛は不要と言っているようなもの。

 見えないものを視るためには愛が必要である。
 そして、愛を得たのであれば、目に見える真実がなくとも、永遠を共にできる。

 その愛を認めることができるのは、黄金の真実だけである。


 赤き真実は“真実”を語り、黄金の真実は“愛”を認める。
 と、考えてみたしだい。



 ついでに手品ルートも解釈してみる。

 縁寿は天草と船長に自身の推理を聞かせ、その反応から真実に至ったと確信し、彼らの口から真実を聞くことなく殺した。
 真実が明かされなくても、自身の推理に確信を持ったことを以ってして、自身の手で謎を殺して物語を終えるのがこのルート。

 人は謎。真実が閉じ込められた猫箱。
 解いた謎にはもはや興味はない。
 謎を殺すことで、謎を解くプレイヤーである自分を殺す。
 至ったと確信したならば、答えが明かされるまでもなく殺す。
 そして、退屈を紛らわす新たな謎を探しに行く。

 要するに、航海者エンド。


 そうすると、それと対比されるだろう魔法エンドを改めて見ればその意味も見えてくる。
 真実に至った後、手品エンドが謎を殺すのなら、魔法エンドは謎を生かすものと見るべきだろう。

 真実に至った上で謎と共に猫箱の中で生きる。
 真実に至った上に行うものと言えば、ベアトの黄金の魔法だ。
 真実の上に幻想を飾り立てる。
 即ち、謎を作る。

 つまり、プレイヤーからGMに昇格し、至った真実を用いて新たな謎を作りゲームを行う、領主エンド。
 現実で言えば、偽書作家エンド。

 あるいは、そこまで行かずとも、至った真実に影響を多少受ける程度でも、“生きている”と言えるのかもしれない。
 寿縁の姿が示すように、ベアトのゲームに拘らずに、創造主への道を推奨はしているだろうけれども。


 共に生きようと共に死のうと、それは既に結ばれているからこそ選べる道だ。
 結ばれた時点で、ベアトの物語、縁寿にとっての過去の物語に決着がついた。
 だからその後に選ぶのは未来の道。
 その未来の物語では、過去の物語が影響するのかしないのか。

 どんなものにも影響されないのであれば、真実に意味はない。
 どんな物語を読み終えようと、自分の物語には何の影響もない。

 だが真実に意味ができればそれに影響される。
 これからの自分の物語の中でその真実は生きる。
 真実になった幻想も、幻想となった真実も同様。
 ベアトの物語から心が伝わったから、縁寿は自分の心を伝える物語を綴った。

 物語は決着し、死者は過去になる。
 死者は未来に影響を与えない。与えられない。
 それでもなお与えたのなら、それは死してなお生きていると言えるだろう。


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  1. 2015/02/14(土) 23:31:30|
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フラット・ホームズ

Author:フラット・ホームズ
「うみねこのなく頃に」の某公式サイトで推理を投稿していた。
その時使っていた名前は察してください。
スタイルは、アンチミステリーをチェス盤で引っ繰り返す、というもの。
キコニアでは、世界を箱庭に見立て、そこにどんな駒を置いたのか、それらを動かして最終的にどういう形に持って行くのか、的な感じのを主にやっている。

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