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うみねこのなく頃に 考察 境界より視やる

PCゲーム「うみねこのなく頃に」の個人的な考察ブログ。「キコニアのなく頃に」についてもガッツリやっている。


エピソード3

 第3のゲームでは新たにエヴァが登場する。
 ベアトという駒が表す犯人は第一の晩で死に、その後はエヴァ、即ち絵羽が犯行を行っているという、魔女側の主張と思われる。
 これまでのゲームで使用人を疑わせていたので、此度のゲームで使用人を殺した後にも事件が続けるために、エヴァという駒が必要になったのだろう。

 そしてそうである以上、第一の晩で使用人が、それ以降は絵羽が犯人であると信じることはできない。
 できるだけそうではない形で推理して行く。


●焼却炉で焼かれた金蔵の死体について

 金蔵の病死については、既知のことだと思うので説明を省かせてもらう。
 金蔵の分が減った18人の枠に、19人目のXを入れるというのも同様。

 前回までのゲームに引き続き、19人目のXを犯人として推理して行く。
 19人目の境遇については、今回得られた手掛かりから、死んだ九羽鳥庵のベアトを踏襲した環境で育てられた、で十分だろう。


 注目すべきは第1のゲームと同様に金蔵の死体を焼いていたこと。
 第3のゲーム焼いたのは死亡時刻と死因を誤魔化すため。
 ならば、死体を焼いたのなら、それは全て死亡時刻と死因を誤魔化すためなのか。

 「死亡時刻と死因を誤魔化したいから、死体を焼却した」が真ならば、その対偶もまた真である。
 だが「死体を焼却したから、死亡時刻と死因を誤魔化した」は対偶ではなく逆だ。
 だから真であるとは限らない。

 第3のゲームにおいては金蔵はゲームが始まる前に死んでいる。
 だからと言って、第1のゲームで死体を焼却された金蔵までも、ゲームが始まる前に死亡しているとは限らない。
 事前に死亡している可能性と死亡していない可能性は、どちらも否定できない並び立つ真実である。
 だから問題は敵手の意図だ。

 今まで金蔵は生きていると思われていた。
 それを前提に推理をしてきた。
 だからこの一手は、その前提を突き崩すための一手である。

 人間側が、幻想を暴き、真実を見つけ出すのならば、
 魔女側は、真実を突き崩し、幻想を生み出そうとしている。
 真実と幻想は裏表。
 魔女の意図が解ったのなら、人間が取るべきスタンスはそれに合わせて決まる。

 魔女側が第一の晩の金蔵も事前に死亡していると思わせたいのなら、人間側はそれに抗うべきではないだろうか。

 第1のゲームで金蔵が焼却炉で焼かれていたのは、第3のゲームで事前に死亡した金蔵を焼却炉で焼くことで、同じように事前に死亡していたという幻想を信じさせようというトリックと考えることができる。
 これは他のカケラを俯瞰して見ることが可能な者に対して仕掛けられたメタトリックである。
 だがまあ、幾つものカケラを俯瞰できるメタ世界で行われているゲームなので、フェアであると言えるだろう。


●分岐点

 第3のゲームにおける4日の出来事は、第1のゲームとほぼ同じ内容である。
 違いが出てくるのは、晩餐で真里亞が手紙を読む場面からだ。

 第1のゲームでは、真里亞は晩餐が終わった後に手紙を読んだ。
 しかし、第3のゲームでは、晩餐の途中で手紙を読んでいる。

 第1のゲームでは、晩餐の後に読んだことで、食事が終わった子供たちは、大人たちが言い争う食堂をすぐに離れて客間に移動することになった。
 そのことにより、子供たちをゲストハウスに戻すために会議を一時休憩させたことで、夏妃が会議から離脱することになったのは、エピソード1で述べたとおりだ。

 それに対し第3のゲームは、晩餐の戸夕で読まれたことで、食事の途中だった子供たちは食事を続けることになり、子供たちの前で言い争っていた大人たちはそれに気付き、子供たちにゲストハウスに戻るように命じることになる。
 休憩が入らないから会議はそのまま続き、夏妃が会議に参加していることで、絵羽と無駄に争うことになり、会議は朝まで続くことになってしまった。

 僅かな違いで引き起こされることが違ってくることを、犯人が想定していることに驚愕すべきなのだろう。
 こういう些細な部分から、魔女の想定の深さを垣間見て感じ入るのもうみねこの醍醐味なのかもしれない。

 閑話休題。
 この些細な違いは、ベアトが故意に起こしたものだ。
 真里亞に手紙を渡す時に、時間を指定したのだろう。
 第1のゲーム同様の展開にしてしまうと、金蔵がすでに死んでいるゲーム盤では、金蔵の書斎脱出も夏妃の心に片翼を授けることもできない。
 だから、金蔵が死んでいることでできるゲーム盤を用意することにしたのだ。
 それが第3のゲームである。


●第一の晩 連鎖密室

 犠牲者は6人。
 現場は、一階客間、二階客室、三階控え室、二階貴賓室、地下ボイラー室、礼拝堂。
 各現場には犠牲者が各一名で、全部密室。
 マスターキーは各使用人のポケットの中で発見。
 各部屋に置かれた封筒の中には次の部屋の鍵が入っていた。
 発見者は、一階客間の窓ガラスを割って侵入。
 二階客室、三階控え室、二階貴賓室、地下ボイラー室、礼拝堂の順に移動した。

 これらの情報から、発見者には一階客間から入って欲しかったことが窺える。
 扉を壊すより、窓ガラスを割る方が費用が掛からず、何よりも金蔵に対して言い訳できないというのもあるだろう。
 だから、唯一窓を割れる一階客間が選ばれた。
(礼拝堂が事件現場になっていることはその時は知られてなかった)
 そしてそのことは、順番が異なったら犯人の都合が悪いことを示している。

 後はどの密室も同じ状況というのもポイントだろう。
 同じ状況が繰り返されるなら、流れ作業で最後まで辿り着いてしまう。
 それはつまり、どうせ同じだという幻想を使って、何かを隠した可能性を示している。


 順番が変わることで都合が悪くなるのは、連鎖密室の最初と最後。
 最初に選ばれることで他の部屋とは異なる部分。
 それは、鍵を使って入っていないということ。

 最後に選ばれることで他の部屋とは異なる部分。
 それは、置かれていた鍵を使うことなく終わったということ。

 発見者たちは礼拝堂に置かれていた客間の鍵が本物かどうかは確認していない。
 よって連鎖密室は、最初と最後が繋がった輪となっているというのは幻想で、本当は最初と最後が途切れた鎖だった可能性がある。

6つの部屋には誰も隠れていない!
室内には犠牲者しかおらず、それ以外の人物は室内には存在しておりません。

 鍵についてはエピソード3では赤き真実では言及していないので、客間の鍵を所持した犯人が密室の外にいればいい。
 後はエピソード4で詳しくやろうと思う。

 絵羽(発見者)が犯人であるというパターンと使用人(犠牲者)が犯人であるというパターンを除外すれば、こんなものだろう。


●第二の晩 真里亞の薔薇

楼座と真里亞は死亡した
死因は南條の見立て通りだ
楼座と真里亞の二人は他殺です

 楼座と真里亞は19人目のXに殺された。
 楼座は押し倒されて柵に貫かれて、真里亞は背後から首を絞められて。

 その時、楼座は銃を所持していたにもかかわらず、銃を撃たなかった。
 見知らぬ者が近付いてきたら警戒を怠らないはずだ。
 ならば見知った人物が現れたのだ。
 現れたのは19人目のX。魔女の肖像画と同じ姿をした人物。
 楼座が同じ姿をした九羽鳥庵のベアトと知り合いという手掛かりは得ている。
 なので問答無用に引き金を引くことはできなかったことだろう。
 楼座に過去の話をし、罪を許すとか、気にしていないとか、そのようなことを言いつつ近付き、不意を着いて杭にささるように押し倒した。
 柔道辺りの投げ技を習得すれば可能な芸当だろう。

 無論、良く似ているとはいえ別人なので、並べたら別人だと判ることだろう。
 しかし、楼座は九羽鳥庵のベアトと一度しか会ったことがなく、トラウマからその思い出を忘れようとして極力思い出さないようにしていたはず。
 なので、九羽鳥庵のベアトと特徴が一致している19人目のXの肖像画を飾ることで、九羽鳥庵のベアトの姿はこうだったはずとイメージを摩り替えていったのだと思われる。

 真里亞については、ベアトが楼座を魔法を使わずに殺したことから、疑念を抱き逃げ出そうとすると想定したのだろう。
 背後から首を絞めて殺すことにした。


 問題はどうやって2人を誘き出したのかだ。
 2人が薔薇庭園に来たのは、真里亞が真里亞の薔薇を心配したから。
 その薔薇は、消えた萎れた薔薇をベアトが蘇らせたもの。
 蘇らせたというのは幻想なので、近くの薔薇に印を付けて、真里亞に蘇ったと信じさせただけ。
 そしてその時にでも、明日第一の晩が終わった後に薔薇が台風で飛ばされていないか確かめて欲しいとでも頼めば、第二の晩に薔薇庭園に誘き出せるだろう。

 さて、このためには、消えた薔薇がなくてはならず、そして後に消えることになる萎れた薔薇がなくてはならず、萎れた薔薇が真里亞の薔薇にならなければならない。
 簡単に言えば、萎れた薔薇が真里亞の薔薇になることから作為的に感じると、まぁ、そういうこと。

 例えば、ベアトは真里亞と待ち合わせをしていたとしよう。
 第2のゲームでは真里亞はベアトを待っていると言っているし、他のゲームでもだいたいは真里亞の薔薇があった所でベアトと会っている。
 そのことからも、萎れた薔薇はベアトと真里亞の待ち合わせの場所である可能性は高い。
 そうであるならば、萎れた薔薇はベアトが用意したと考えるのが自然だろう。
 使用人には金蔵から命令しておけば、薔薇を処分することはないだろう。

 島に到着して薔薇庭園に着いた真里亞は、待ち合わせの目印である萎れた薔薇を確認する。
 その様子を見た譲治は、気を利かせて真里亞の薔薇であることを直ぐにわかるように目印を付けた。
 譲治の性分だと勝手に気を利かせるから、そうなることも想定できたことだろう。

 その後、萎れた薔薇を摘み取れば、真里亞は薔薇が消えたと騒ぎ出す。
 そして楼座に怒られ、ひとりぼっちで取り残される。
 そこにベアトが現れるというのが、だいたいの筋書き。
 後は、立っているフラグを確認して、ルーレットに従って行動を変えればいいだけ。

 今回は薔薇を蘇らせ、第二の晩の布石とした。


 後は絵羽のアリバイについて。
 楼座たちはエヴァに殺されたという描写がされた。
 これは魔女側の絵羽が殺したという主張であり、そうだと信じさせたい幻想だ。
 よって、絵羽犯人はありえない。

 絵羽犯人がありえないのなら、絵羽の動機として描かれた、楼座が碑文を解いて絵羽と意見を違えたという描写も幻想ということになる。
 だから、“絵羽は楼座を殺すためにゲストハウスを出ることはない”。
 なのに、“絵羽は楼座殺害時にゲストハウスを出た”。

 行動式について考えることは、“霧江の行動式”で示されている。
 明確な理由がなければ、絵羽はゲストハウスの外には出ないだろう。
 第3のゲームにおいて、絵羽がゲストハウスを出るに足る理由が示された描写は、碑文を解いて黄金を見つけるものだけだ。
 だが絵羽が黄金を見つけた描写は、楼座殺害時の前の出来事として描かれている。

 ならばその描写が幻想であれば、絵羽が黄金を見つけたのは楼座殺害時であると言えるだろう。
 絵羽は楼座殺害時は秀吉に協力してもらってアリバイを作った上でゲストハウスを出ている。
 しかし、黄金発見時ではそのような様子は描かれていない。
 それはつまり、絵羽は黄金発見時にはアリバイの確保をしていないということだ。
 両方とも誰にも知られたくないのにも関わらず。

 そもそも絵羽が体調不良のふりをしたのは、楼座と真里亞が薔薇庭園に向かうことを決める前のことだ。
 絵羽が体調不良のふりをしたのが、不在時のアリバイ確保のためであるならば、これはおかしい。
 楼座を殺すためにアリバイを確保したかったのなら、楼座が薔薇庭園に行くことを予め知っていなければならないのだ。
 よって、絵羽が黄金を発見したのは楼座殺害時だと判断した。

 まぁ、ベアトに教えてもらっていれば絵羽でも可能なのだが。
 とは言え、絵羽にやらせるくらいなら、自分でやった方が話は早い。 
 楼座の銃がそのままにされていたことも、ベアトの犯行だと示している。

 絵羽は犯人であれば、楼座の銃はどこか見つからない所にでも隠して、19人目の仕業にでも見せかけるべきだからだ。
 銃を残してしまえば逆に、その銃を所持していたら犯人だと明白になってしまう内部の人間による犯行であると推理されかねない。

 そして、チェス盤を引っ繰り返せば、19人目のXには銃を残していく理由が存在することになる。


 ちなみに、真里亞が薔薇のことで駄々を捏ねるタイミングを、絵羽と秀吉が部屋に戻った直後にすれれば、タイミングは完璧になる。
 あとは絵羽が碑文が解けるかどうかだが、当主継承という餌と同時に挑発もすれば絵羽は本気で碑文を解こうとするだろうから、解いてしまう確率は高く見積もっていたとは思う。
 とりあえず時間切れはベアトの勝利なので、生き残りを上手く分断できなくれも最終的には爆発で終わるので構わないのかもしれないが……。
 あるいは、礼拝堂のレリーフを確認すれば判別できるので、解けなかった場合の計画でも立てているのやもしれない。


●第四~六の晩 玄関ホール

 犠牲者たちの動きは作中でやったとおりだ。
 霧江が煙草から絵羽のアリバイを保証している秀吉が嘘を付いていると推理し、それを問い詰める為に食料を確保してくるという名分で秀吉を屋敷に連れ出した。
 そして、そうゲーム盤でなっている以上、ベアトはそれを想定していたということ。
 秀吉が嘘を付く緊張から煙草を吸うことも、それを発見した霧江が推理することも、ゲストハウスから出るための嘘の名分すらも。

 犯人が絵羽で秀吉がそれに協力していると考え、秀吉を問い詰めている留弗夫と霧江は、周囲を警戒せずに秀吉と言い争っていたことだろう。
 だから、銃を持っている3人を簡単に殺せた。


●第七~八の晩 ゲストハウスの密室

 ゲストハウスの外で蔵臼、夏妃、譲治が殺害されたが、それ以外の生き残りがいたゲストハウスは内側から施錠された密室だった。
 犠牲者がゲストハウスの外に出たのなら、出たところの鍵が開いていなければならない。
 そのはずなのに鍵が掛かっていたということは、内側にいる誰かが鍵を閉めたということ。
 つまり、犯人はゲストハウスの中にいることになる。

 と、主張しているわけだ。

 そのようなこと、内側の人間がするはずがない。
 鍵を開け放つことで、外に犯人がいると主張するのが最善手であるからだ。
 逆に外の人間が犯人だった場合は、犯人に都合が良いとということになる。

 犯人でない人間が知らずに施錠したということも考えられない。
 一度全ての鍵を閉めたはずなのに、それが開錠されていたということは、内側にいる誰かが開けたということ。
 そして、開けたなら犯人が入ってこないように閉め直しておかなければならない。
 なのに施錠しなかったのは、開錠した誰かはその後施錠することができなかったということになる。
 つまり、誰かが外に出てしまったということを示しているのだ。
 それなのに施錠したということは、それを知っていて施錠したということになる。

 まとめよう。
 犯人が内側から施錠するはずがないので、犯人は施錠していない。
 施錠した人間は、誰かが外に出たことを知った上で施錠した。
 さらに言うならば、犯人はそうなることを想定していた。
 内側にいる人間が疑われるのだから、犯人は内側にいるはずがない。


 では、施錠した人間を探ろう。
 施錠した人間にとっては、施錠すれば外に出た人間がゲストハウスに入ることができなくなることは、無論承知の上だろう。
 犯人がいる外に締め出されれば、犯人に殺されてしまうかもしれない。
 それを望んで締め出したのなら、それは犯人に殺されても構わないという未失の故意だ。

 その殺意の手掛かりが存在するのは絵羽だ。
 なぜ屋敷に行くのを止めなかったのかと、蔵臼を責める描写が存在している。
 絵羽には蔵臼と夏妃が死んでも構わないと思っていたこどだろう。
 だから、外に出た蔵臼たちを鍵を施錠することで締め出し、犯人に殺されることを望んだ。

 蔵臼たちと席を共にしていた絵羽は、席を外した。
 そして、その間に蔵臼たちはいなくなった。
 つまり、席を外している間にこっそりと外に出るように仕向けたと考えれられる。

 絵羽は自分が席を外せば蔵臼たちが外に出ると予想していた。
 しかし、“蔵臼たちにはゲストハウスを出る理由はない”。
 だから外に出るだけの“理由”を与えなければならないだろう。
 そして、その“理由”は存在する。
 絵羽自身、その“理由”でゲストハウスの外に出ているのだから。

 つまり、蔵臼たちは碑文を解いて黄金を見つけるためにゲストハウスの外に出たのである。

 後は簡単だ。
 蔵臼たちは礼拝堂のレリーフの仕掛けを動かすために、一人は梯子か何かの上に登らなくてはならない。
 残る一人は、それを支えるために下にいることになる。
 だから、その後ろから忍んで近付けば気付かれることなく、紐で首を絞めることができる。
 絞殺なので声を上げることなく殺せるので、上のもう一人には気付かれることはない。
 残りも絞殺すればおしまい。


 次は譲治の殺害について。

 絵羽には譲治に死んで欲しい動機は存在しない。
 だから、絵羽には蔵臼たちが開けた鍵を閉めることはしても、譲治が開けた鍵を閉めることはない。

 何が言いたいかと言えば、蔵臼が開けたところから譲治は出ていないということだ。
 窓でも扉でも先に開けられていたのなら、そこから誰かが外に出たということに気付くはずである。
 それを知りながら誰にも知らせないなど、譲治の性分からすればできないことだろう。
 だから譲治が外に出たところは、譲治自身が鍵を開けたと思う。

 エピソード4を先取りすれば、赤き真実で譲治は一階に降りていないことが確定するので、譲治は二階から外に出て、蔵臼たちは一階から外に出たことになる。

 つまり、絵羽が施錠したのは、蔵臼が開けた一階の鍵だけで、譲治が開けた二階の鍵は他の人間が掛けたということになる。
 絵羽以外のゲストハウスの内側にいる人間には、譲治が死んでも構わないという動機の手掛かりは存在しないように思う。
 なので、施錠した人間は、犯人しかいない。

 犯人であるベアトの姿をした19人目のXは、蔵臼たちが鍵を開けたところから侵入。
 そして譲治が開錠した鍵を施錠して、元の場所から脱出。
 その後、絵羽が蔵臼たちが開錠した鍵を施錠。
 これでゲストハウスの密室は完成。

 残るは譲治が客間に向かった理由。
 普通に考えれば、紗音の死に顔を見に、と言ったところだろうが、個人的にはそれでは弱く感じる。
 何もその時に行かなくてもいいだろうという気がするからだ。
 なので、出来るだけ描写された通りに読み解いて行こうと思う。
 勿論、人間に不可能な部分は、可能なことに置き換えるつもりだ。

 譲治が戦人たちと共にいた部屋から出たのは、コーヒーのお変わりを入れてくるためだった。
 しかし、その名目は席を立つためのもので、実際は金蔵が死んだ愛人ベアトリーチェを蘇らせる研究をしていたことに共感し、感情を露にしてしまったことを誤魔化すためだ。
 そして、そう描写されたということは、ベアトはそうなると想定したということ。

 ベアトを蘇らせることを望んでいた金蔵が碑文の儀式の生贄にされたことで、金蔵の研究の話題がされることは想定できる。
 その話で、昨夜紗音にプロポーズをするほどの決意で愛することを誓った譲治が、愛する人を亡くし、それを蘇らせたいという願いに共感してしまうことも想定できる。
 そして、他人に気を遣う譲治が、気まずい想いをさせないように席を立って誤魔化そうとするのも想定できるだろう。

 だから、ベアトの姿をした19人目のXは、譲治が部屋を出てくるところを待ち伏せることができた。
 そして譲治に、紗音を蘇らせたくはないかと囁いた。

 愛する人を亡くして心が弱っていて、愛する人を蘇らせたいという願いに共感して心を揺さぶられた直後にこの悪魔の囁きをされたら、もしかしたらと万が一の可能性に縋り付いてしまっても仕方のないことかもしれない。
 何しろそのベアトは、内側から施錠され外側からは入ってこれないはずのゲストハウスの中に入ってきたのだから。
 それも一階に大人たちがいるはずなのに、誰にも気付かれることなく。
 譲治にはそれが人間には不可能なことを成し遂げることができる魔女の証明に思えたかもしれない。

 ベアトのことを信じることにした譲治は、ベアトの命に従い一階にいる者に気付かれないように二階から出て、紗音の死体がある屋敷の客間に。
 ベアトは残って中川から鍵を施錠し、一階を通って屋敷に向かい、客間で譲治を殺害した。

 この時の譲治の空中浮遊の描写は幻想なのだが、これは譲治が感じたであろう、現実感が喪失したふわふわした感覚を表しているのかもしれない。


●第九の晩 南條殺害

 南條を殺した犯人は19人目のX。
 赤き真実の抜け方は省略しても構わないだろう。

 では、犯人はどのように南條殺害を想定したのか。

 南條は使用人室の前の廊下で殺された。
 これは南條が使用人室に来ると想定していたからだ。
 南條は朱志香が怪我をしたから、その治療のために治療道具が置いてある使用人室にやってきた。
 ならば朱志香の怪我を想定すればいい。

 朱志香の怪我を想定するには、絵羽と朱志香が争うことを想定していればいい。
 争いの原因は、朱志香が絵羽が犯人であると疑ったこと。
 疑いの原因は、ゲストハウスが内側から施錠された密室だったこと。

 犯人はゲストハウスが内側から施錠されることを想定していた。
 だから後は、蔵臼と夏妃の死体を発見させて朱志香に怒りで暴走するように仕向け、絵羽には譲治を死体を確認させ精神を不安定にさせた。
 それによって朱志香は絵羽に食って掛かり、絵羽は誤って引き金を引いてしまった。
 朱志香は高確率で何らかの怪我をしてしまう。
 絵羽はさらに混乱し、責任回避するために現実逃避に走る。
 戦人は絵羽を一人きりにはできないので、絵羽につついて行く他ない。
 だから、使用人室には怪我人の朱志香と南條しかいないという絶好の機会が生まれることになる。


●戦人の死

 戦人は絵羽に殺されたと描写されているが、戦人視点でないので疑うことは可能。
 とはいえ、戦人が殺された事件の手掛かりはそれしかないので、絵羽が戦人を殺したのは間違いないだろうと思う。

 ただし、戦人が絵羽が犯人だと確信したという描写には疑問を感じる。
 自身が絵羽に殺された以上、戦人視点では絵羽が犯人で確定。
 そうなれば、自分以外も殺しているに違いないと思い込むのが自然である。
 殺された戦人が絵羽が犯人だと主張しているだけで、絵羽が他の事件の犯人であるのが真実ということにはならない。


 戦人視点を再構成してみよう。

 戦人から見て、ゲストハウスが密室だったという状況から、犯人は内側にいると考えるはず。
 容疑者は戦人を抜かして3人。内、自身と共にいた朱志香にはアリバイがある。
 そして、殺された南條はおそらく犯人ではないと考えるだろう。
 となると、ゲストハウスの鍵を内側から施錠した犯人は、絵羽しかいない。
 絵羽には南條は殺せないが、ゲストハウスの件は間違いなく絵羽である。

 とまあ、そんな風に考えたのではないだろうか。


 続いて絵羽視点で再構成。

 絵羽から見ても、ゲストハウスを密室にできたのは内側にいる人間。
 そして、その人間こそが譲治たち3人を殺した犯人だと思っていたことだろう。

 南條が殺され、戦人は自身と共にいてアリバイがある。
 なら南條を殺したのは朱志香ということになる。
 そして、朱志香が犯人であるのなら、ゲストハウスの密室時の朱志香のアリバイを保証する戦人も共犯ということになる。

 南條は銃殺。つまり、朱志香は銃を所持しているということ。
 勿論、その銃は留弗夫たちから奪った二丁の銃の内のひとつ。
 残るもう一丁は戦人用。
 今は戦人は持っていないが、隙を見て持ち出してくるだろう。
 そうなれば、自分が銃を所持していても、相手は銃を所持した2人。
 とてもかなうはずがない。

 だから、朱志香と合流しておらず、戦人が銃も所持していない今こそが最大のチャンス。
 先に戦人を始末し、その後に朱志香を迎撃する。
 それしか生き延びる可能性はない。

 ……そんな風に考えてしまったのではと推測する。


 さて、それら正解だと仮定すると、朱志香が行方不明になった理由も説明が付く。
 つまり、戦人を絵羽に殺させるために、朱志香の死体を持ち出して隠したということ。





 全てのゲームを見渡しても、今回のゲームほど綱渡りは存在しないと思う。
 犠牲者たちを信じなくてはできない計画で、普通の人間にはそれに賭けることはできそうにない。
 それを絶対の意志で運命に従うベアトはどのような心境なのか。
 犠牲者たちの真実だけでなく、そこから派生する感情、意志、行動まで信じている。
 それは他者の行動式について、絶対の真実である赤き真実で保証するほど。
 ベアトの中ではそれは絶対だと信じている証左であると言えるだろう。

 さらには、その行動式の絶対すらも、ベアトの無限の運命の中ではひとつの可能性に過ぎないわけで……。
 真実はどこまでも深い場所にあるようだ。


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プロフィール

フラット・ホームズ

Author:フラット・ホームズ
「うみねこのなく頃に」の某公式サイトで推理を投稿していた。
その時使っていた名前は察してください。
スタイルは、アンチミステリーをチェス盤で引っ繰り返す、というもの。
キコニアでは、世界を箱庭に見立て、そこにどんな駒を置いたのか、それらを動かして最終的にどういう形に持って行くのか、的な感じのを主にやっている。

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