FC2ブログ

うみねこのなく頃に 考察 境界より視やる

PCゲーム「うみねこのなく頃に」の個人的な考察ブログ。「キコニアのなく頃に」についてもガッツリやっている。


【キコニア】父なる神、母なる神/デートの招待状

 “父”と“母”は“A3W”というゲーム盤で遊んでいるプレイヤーだ。
 そのゲームは例えるならパズルで、そのパズルの制作者でGMなのが“母”。
 “母”はパズルをバラバラにして、“父”がそのパズルを完成させようと挑戦している。
 これは即ち、世界の創造と破壊、そして再生である。
 つまり、駒たちにとってゲーム盤という世界に天変地異を引き起こす神も同然なのだ。

 このパズルの世界観には、パズルを組み立てる神自身も組み込まれている。
 つまり、“神”を表すピースがあるということ。
 GMである“母”は自身を表すピースを隠し、その空いたスペースに対戦相手として組み込まれた“父”を表すピースで埋めて、PLである“父”にそのパズルを再構築させようと企んでいる。

 それはさながら母と子の物語を、父と子の物語に編纂し直すかのよう。
 執筆者にとって物語は子だ。
 その子である物語を読者に託して自分は消える。
 これは読者からすれば、離婚されてシングルファザーになったようなもの。

 そもそもゲームとは、物語を介してGMとPLがそれぞれの解釈を闘わせること。
 そういう「ブラウン管裁判」なのだ。
 対戦するべきGMが消えたら、PLはただ自分が解釈した物語を読むだけとなる。
 それではゲームにならない。
 “父”と“母”と“子”の三者が揃って初めてゲームになるのだ。

 そんなわけでPLである読者は、自身の解釈をぶつけるべき相手を探さなければならない。
 つまり、“母”のピースを。

 で、ゲームの席に一人取り残された“父”は、パズルをあれこれと組み立てては崩し組み立てては崩している。
 神の代理人であるバケモノとは、この“父”のこと。
 “父”は天の御座にいる碧玉のように見える者、即ちジェイデンである。


 このPL兼GM代理のジェイデンが、我々プレイヤーである読者に重ねられている。
 つまり、ジェイデンに求められている役割を、プレイヤーである読者にも求められているのだ。
 そんなわけで、その辺のことを読み解いていこうか。



“もちろん大嘘だ。本当に今日だっけ、この時間だっけ、待ち合わせ場所はここだっけ。
 脳内タブレットで何回も何回もメールを確認し過ぎて、キズナに“脳内壁紙”にデフォルト表示しましょうかぽよ、と提案されたくらいだ。”


 ミャオとの初デートの時のジェイデンの様子。
 ジェイデンは勿論プレイヤーである読者に重ねられる。
 待ち合わせの相手は、姿を隠している対戦相手“母”だ。
 何度も確認したメールは、メッセージが記された物語であるゲーム盤。
 メッセージを読み解くために、そして読み解いたメッセージが本当にそうなのか確かめるために何度も見てしまう。
 そんな読者の様子に重ねられている。


「女の遅刻は愛嬌、男の遅刻は切腹だ。男が先に待つことこそ、男の美徳」

 これはジェイデンの脳内に集まっていた百部の台詞。
 男、即ち“父”であるPLが、ゲーム盤の席に座って待っている。
 “母”であるGMが戻ってくることを。
 待つことも男の甲斐性。

 うみねこを見れば分かるけど、戦人即ちPLが来るのが遅いから待っていたGMは消えてしまった。
 なぜ待てなかったのかと責めるなら、それがこちらの番になった時は待てなければならないだろう。
 それに先に待たせたのはこちらなのだから、次はこちらが待つ番だ。

 女は支度に時間が掛かる。
 その支度は男を喜ばせようとしてのもの。
 それを理解すれば可愛いもの。

 答えを先に公開してくれなければ会いに行けない、なんて情けないことを言い出すヤツは切腹でいいと思うよ。


 そんなわけで、“デート”はPLとGMの待ち合わせの約束を暗示している。
 その文脈で見ればクリスマスのデートと、その振り替えのデートがそれに当たる。

 クリスマスはキリストの生誕を祝う祭り。
 ヨハネの黙示録において、キリストは千年王国を打ち立てて支配する。
 とすると、千年王国の建国記念日がキリスト再臨を祝う日であると解釈できるのではないだろうか。
 ま、聖誕祭というより復活祭になるのだろうが。

 “母”即ち“龍”はその間、千年の眠りに就く。
 つまり、千年の遅刻。
 セシャトはそれを起こして、呼び戻してこいと言った。

 本来なら千年後に“龍”が“父”と“子”に挑んで破れる。
 それによって“母”の欠けを“父”で補ったパズルが完成させるはずだった。
 それが“母”のデート、即ちゲームの約束。

 それなのに藤治郎が引き出しのあるミロのビーナスから隠してあった心臓を見つけ出し、それをセシャトが“母”に示した。
(赤き真実の心臓は、「復活」を意味するイースターエッグとなるのだろうか?)
 つまり、“父”は全てを分かっていて、その上で待っているのだと。
 そう仄めかした。
 こっちは“父”から“母”への招待状。


 だからこれはもう、態と負けるためのゲームではない。
 “母”が本当に待ち望んでいた“奇跡”を勝ち取るための、本気のゲーム。本気のデート。

 デートの約束の日はクリスマス。
 千年王国が打ち建てられる日。
 その日に本気のゲームをしようという約束。

 その2つのシナリオが織り込まれた物語は、読者への雨乞い(メッセージ)。
 それを見てプレイヤーは席に着いた。
 そしてゲームマスターが姿を現すのを待つ。

 つまり、“父”ジェイデンの行動は雨乞い。
 本当のプレイヤーである読者を席に招くための招待状。


 うむ、ちゃんと私は受け取ったぞ、その招待状。
 だからその日、先に待っていよう。
 ゲーム盤を何度も見直しながら。





 さて、それがプレイヤーである読者への招待状であるなら、その一段下層にもその招待状がある。
 ジェイデン&都雄VSミャオ。
 その予行である都雄VS鈴姫がそれだ。

 「メッセージだけで終わらせてはならない」という台詞。
 メッセージが雨乞いという意味なら、それはPLに対するもの。
 メッセージだけでなく実際にゲームで戦わなくてはならないということ。
 つまり、生死を賭けた戦いをPLとしたいという意味。

 鈴姫は赤き真実の王を模したピース。
 即ち、“母”ミャオの代わり。
 ジェイデンはGMの代理もしているプレイヤーである読者を模したピース。
 つまり、鈴姫は赤き真実の全てを背負った王の責務からジェイデンと戦おうとして、黄金の真実の王である都雄に阻まれ殺された。
 その都雄を駒として操ったのが“父”である藤治郎。
 即ち、神の代理人であるジェイデンである。

 これは完全に「ジェイデン&都雄VSミャオ」の予行。
 雨乞いのメッセージ。
 メッセージでは終わらせない、命を賭けて戦おう。
 それはゲームの約束。
 それはデートの約束。


 こっちの招待状も確かに受け取った。
 しかしこっちは、都雄によって殺して欲しいという、旧バージョンの招待状。
 だから赤き真実の心臓を見つけたという、最新バージョンに更新したから、そっちの招待状を送り返すよ。





 でもって、

「アンタも、いい女になってくれよ。そうしたら、その狂気の沙汰の果てには、僕と黄昏を眺めながらワイングラスを傾ける未来も、あるかもしれないよ」

 この“父”藤治郎の台詞は、“母”ジェストレスに対してのものだけど。
 この“母”は旧バージョンの招待状のままの、赤き真実の心臓が見つかっていることを知らない時のもの。
 “父”にとっては幼い時分の“母”というわけ。
 つまり、アップデートを済ませた後の“母”と、黄昏を眺めながらワイングラスを傾けようと言っているのだ。

 これがジェイデンだと思うと、めっちゃ調子に乗った台詞だよな、これ。

 要するに、“父”ジェイデンと“母”ミャオの最新バージョンの約束に掛かっている。
 その約束を果たそうというジェイデンの思いと、さらにその様をフィーアと共に眺めようという藤治郎の思いが重なっている。





 ジェイデンのTIPSを読み解く。

“CPPが上位を完全に独占するAOUアメリカ一斉P3検査において、NPPでありながらトップ3入りを果たす。
 その後の検査で、脳内生成物質及びその受容体に特異な傾向が確認される。AOUアメリカ国防高等研究所はこれを。CPPに勝るとも劣らない極めて希少な脳力であると認定、特別研究対象にしていしている。
 ただし、展示飛行訓練中にフロリダ上空にカラースモークにて猥褻物を描いた行為により、米本土での飛行は永久禁止処分中である。”


 CPPが上位を完全に独占しているのは、そこがパラレルプロセッサーである“母”の世界だから。
 NPPである“父”はその世界では異分子。
 その“父”が上位のCPPに匹敵する。
 さらには神の代理人にまでに至る。
 それは、“脳内生成物質及びその受容体に特異な傾向”があるから。

 つまり、常人には理解不可能なCPPの世界を理解可能。
 赤き真実、黄金の真実、魔法幻想。
 その全てを同時に認識できる。
 簡単に言えば、三重の意味を持つ情報を受け取れる脳を持っているということ。

 CPPの脳内人格が三位一体となってその情報を発し、ジェイデンはそれを一つの人格だけで受け取れる。
 そういう意味で、めちゃくちゃ特異なんだよね。
 その特異な人間を“母”の世界の駒として取り込むには要研究だということ。

 でもって故郷で空が飛べないのは、“父”ジェイデンが現実世界の出身だということを表している。
 古郷では空を飛ぶことが不可能で、“母”の世界の中なら空を飛べる。
 そこは想像の中の世界だから。


 その想像の中の世界でキコニアが飛ぶ。

 フラグメントの「キコニアの飛ばない国」。
 あれは想像力によって物語(子供)を生むという話。
 想像の中では簡単に人を生み出せる。
 記号のような、似通ったキャラたち。
 そんな工場で作られた大量生産品。

 それに対して、一点物のキャラを生み育てるのがキコニア生まれ。
 時間を費やして生み出した物語、さらにその物語を手間暇を掛けて育て上げ、完結まで責任を持つ。
 それをできる者だけが子供を生み育てることが許される。
 それがAOUの、“母”が己に課した尊厳。

 それを怠った者は刑務所に入れられる罰を受ける。
 だから子供である都雄を放置した“母”は、墓穴に閉じ込められるという罰を受けている。

 物語を生み育てるのは手間暇が掛かる。
 それは物語を育てる“父”もそう。
 プレイヤーたろうとする読者もそうだ。
 だからその責務を理解した上で育てなければならない。





“拒否権を持つ、普段なら存在しないはずの3人目の士官の道場と、その士官による核攻撃の拒否。
 この2つの偶然が、……奇跡的に人類を核戦争から救っていたのだ。”


 これは二つ解釈ができる。

 ひとつは、“母”と“子”だけだった物語に、“父”が現れたことを示す。
 そして“子”だけが生き残る結末を拒否して人類を救う。

 もうひとつは、“父”と“子”だけで進める物語に、“母”が戻ったことを示す。
 “母”の望み通り“子”だけが生き延びる物語を代理で進める“父”に拒否権を行使する。

 人類は賛同が100%になろうとすると、反発する者が現れるように神にプログラムされているらしいからね。
 まさにブーメラン。

 その場にいるのは3人。
 “子”は自身が主人公であることを望み。
 “母”は“子”の物語が生き延びることを望み。
 “父”はその“母”の望みを受けて“子”の物語を選ぶ。
 満場一致。
 だがしかし、“父”は“母”の真実を知っているのだ。
 もはやデコイの“聖霊”はいない。
 “母”の代わりに反対してくれる者などいない。
 だから反対するには“母”自身がしなければならない。

 これ、ジェイデンが考えたのなら、めっちゃ厳しい一手だな。
 手を掴みたいなら、自分から手を伸ばせと言っている。





 クリスマスはデートが出来ないから代わりに皆でパーティー。
 結果から見れば、そのパーティーは収穫祭になった。
 皆の魂、つまりパズルのピースを収穫する祭り。

 発案者はジェイデン。
 しかし実際はミャオの提案なのは秘密。

 “父”ジェイデンは“母”が提案した収穫祭を実行しただけ。
 つまり、神の代理人に過ぎない。

 神のシナリオを組んだのは“母”。
 “父”はそれを推理して踏襲しながら上書きしている。


 私もまたその提案に乗ってパズルを組み立てている。
 さて私は何度ゲーム盤上に天変地異を引き起こしたのか。

 しかし、世界を破壊する役割を振られるとは思わなかったなぁ。
 でもそれも乙なものだ、悪役気分に浸れる。
 テンション上がるなあ。
 ノリノリで世界を滅ぼそうとする演技ができそう。

「お前たちが戦う意志を見せなければ、俺はこの星を破壊し尽くすだけだ!!」

 とか言えばいいのかな?


 “父”のピースの代わりに“母”のピースが嵌っていたということは、本来都雄の一心同体の相棒ってミャオのことなんだよね。
 それが“父”の物語に編纂されるために、その代わりを“父”が担っている。
 “子”が“父”の物語に編纂されるために、切り離せない親子関係、相棒、一心同体になるために。

 それはつまり、“母”と“子”の関係を引き裂くということ。
 それはつまり、“子”にとって“父”こそが敵なのだ。
 さあ、“父”を乗り越えてみせよ。
 それを見るためなら、喜んで悪役を担おう。
 ふははははっはっ!


 藤治郎は元妻が都雄に連絡してくるのを待ち。
 ジェイデンはミャオが都雄再臨の日に来ることを待つ。
 そして、私は執筆者がゲームの席に現れるのを先に座って待つ。

 これらが重ね合わさるから、私の期待感が凄い。
 待ち合わせというのは、こうも高揚するものなのかね。
 うみねこから合わせて十数年。
 ひぐらしも合わせればもう何年になるんだ?
 待ち焦がれた日がやって来る。
 心が逸る。

 ゲームの招待状が届いた。
 済まないな都雄、争いを望んだのは私たちだ。
 Phase1は招待状。雨乞いに過ぎない。
 これから巻き起こる戦いの予兆でしかない。
“生まれ出たものは、必ず滅びる。
 滅びたものは、必ずよみがえる!
 震えおののくのをやめよ!
 生きることに備えるがよい!”
 全ては、人類を正しく導く為に。



 で、やっとこさ招待状を読み解いてゲームの席に着いたわけだけど。
 私が一番乗りということで良いの?
 まさか席に座るだけで七ヵ月も掛かるとは思わなかったぞ。
 本来なら5月にPhase2が発売される予定だったんだよね。
 それからするとギリギリじゃん。
 難解すぎるんだって。
 ま、逆を言えば、それだけ信頼されているってことなんだけどさ。


スポンサーサイト



  1. 2020/05/03(日) 20:29:55|
  2. Phase1
  3. | trackback 0
  4. | comment 0
<<【キコニア】神の代理としてゲームを行う | BLOG TOP | 【キコニア】神のパズル~三人の王と天の御座~>>

comment


  管理者にだけ表示を許可する
 

trackback

プロフィール

フラット・ホームズ

Author:フラット・ホームズ
「うみねこのなく頃に」の某公式サイトで推理を投稿していた。
その時使っていた名前は察してください。
スタイルは、アンチミステリーをチェス盤で引っ繰り返す、というもの。
キコニアでは、世界を箱庭に見立て、そこにどんな駒を置いたのか、それらを動かして最終的にどういう形に持って行くのか、的な感じのを主にやっている。

現在時刻

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

咲 (3)

来訪者数

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

QRコード

QR

Designed by U-BOX