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うみねこのなく頃に 考察 境界より視やる

PCゲーム「うみねこのなく頃に」の個人的な考察ブログ。「キコニアのなく頃に」についてもガッツリやっている。


創造主のトリック

 ほとんど全部既に書いたことばかりだろうけど、創造主についてのまとめ。
 今回は創造主のトリックについて。



 「うみねこ」は基本、三層構造。

 下層はニンゲンの世界。
 ゲーム盤やカケラなどと呼ばれ、現実を元にした無数の並行世界が築かれている。
 駒はそれぞれの真実に従って動き、幻想の駒は生み出した魔女が設定した真実(幻想)よって動く。
 犯人と探偵が対峙している。

 上層は魔女の世界。
 俗に言うメタ世界。下層を俯瞰し、ゲーム盤を用いてGMとプレイヤーがゲームを行っている。
 下層の世界に対して真実を主張することが許される。
 そのため、魔女はゲーム盤に幻想の駒を置いてそれを動かすことで、裏に真実を隠して表に幻想を飾り立てる。
 魔女側のGMと人間側のプレイヤーが対峙している。

 最上層は創造主の世界。
 メッセージボトルや偽書の作者がいる現実で、その作品を読む読者もその回想にいる。
 メタ世界をも俯瞰し、魔女がニンゲンを駒として動かすように、創造主は魔女をも駒として動かして己の主張を展開する。
 (作中の)作者と読者が対峙している。

(ちなみに、さらに上に私達のいる本当の現実がある。
 現実の読者である私達は、作中の読者の視点に寄り添っていてほぼイコール)


 未来の世界も構造は同じ。

 未来にいる縁寿はメッセージボトルや偽書を読むことにより、メタ世界の上層より俯瞰することができるが、未来世界においては幻想の駒が動く下層のニンゲンの世界にすぎない。

 縁寿が七杭を召還し、異なる出来事が起こる世界は、下層のニンゲン世界。
 その上層のフェザリーヌがいる世界は、メタ世界に相当。
 自らの分身であるフェザリーヌを描いている八城十八がいるのが最上層の創造主の世界。





 魔女の世界からニンゲンの世界に対する干渉は不可能。
 これが許されたらファンタジーを肯定することになる。
 可能なのは解釈とその主張のみ。
 それを目に見える形にしたのが幻想描写。

 創造主の世界とニンゲンの世界はどちらも同じ現実かそれを元にしたカケラなので、現実的に可能であれば干渉可能。

 そして、魔女の世界は創造主が生み出した世界。

 つまり、魔女の都合により犯人が動いたのであれば、それは創造主である作者の都合。
 魔女のゲームを前提に犯人が行動したのであれば、犯人は創造主が生んだ魔女の世界のことを知りえる立場にある。
 逆に、その犯人の行動を反映した魔女のゲームを作った創造主もまた、犯人と意思疎通していることになる。

 簡単に言えば、創造主と犯人は同一人物、あるいは共犯者ということ。


 創造主の仕掛けるトリックについて『最終考察 うみねこのなく頃に散』のインタビューを引用し、さらにそれを解釈してみる。


K EP1のチェーン密室はウィルが「幻の鎖」と言ってましたね。ここは完全密室ではなく錯覚密室のパターンだと思うのですが、いかがですか?
竜 あれは何て言えばいいのかな。答えを言っちゃおうかなぁ(笑)あの辺りは観測者の話になりますね。そもそも「チェーン密室内で二人が死んでいた」ということを観測したのは誰だ。って話が始まると、疑うべき人物が見えてきます。そうなると、トリック自体はそれほど重要ではない気がしてきますよね。あのチェーン密室を破る方法をシンプルに考えると、答えは二つ出てきます。そのどちらであっても、誰がどのように手を下して帳尻を合わせたかは同じです。要はナイフを刺した時、順手で刺したか逆手で刺したかの違いくらいでしかないということですね。この密室トリックの核心部分とは関係のないことです。だからこれは完全密室ではなく、錯覚密室ですね。観測者が何かを錯覚したことで生まれる密室ですから。


 「EP1のチェーン密室はウィルが「幻の鎖」と言ってました」の辺りは観測者の話になる。
 観測者とは、私見を交える観測者のこと。
 私見とは幻想描写で示される偽りの解釈のこと。
 そうすると、「疑うべき人物」とは「メッセージボトルの作者」になる。
 だとすると、下位世界の犯人が使ったトリック自体はそれほど重要ではない。
 作者即ち、創造主が使ったトリックこそが重要となる。

 チェーン密室を破る方法をシンプルに考えると、答えは二つ。
 密室だから外からでは犯行は不可能である以上、犯人は密室内にいるか、本当は密室じゃなかったか。
 そのどちらであっても、「真犯人であり創造主である者」がどのように手を下して帳尻を合わせたかは同じこと。
 ナイフを刺した時、「現実の駒」で刺したか「幻想の駒」で刺したかの違いでしかない。
 この密室トリックの核心部分とは関係のないこと。
 「観測者である作者」が「幻想の駒」にも可能であると幻想を信じたことで生まれる密室だから。


 そんな感じか。
 煙に巻くために上手くぼかしている、いつものうみねこテイストなわけで。
 実にすばらしい。


 さて、創造主の視点を持った犯人の何が違うって、騙す相手が「読者」であるというところだ。

 普通ならゲーム盤の犯人がトリックを使って騙すのは、同じゲーム盤のニンゲンでなければならない。
 普通の犯人には自らの頭上に、メタ世界の魔女やら、さらに上の創造主やら、創造主が作ったメッセージボトルを読んでいる読者やらがいることなど知らないのだから。

 一つの密室で二つのトリックの帳尻を合わせるのもそう。
 “ゲーム盤上の探偵の推理”を組み込んでスケープゴートに罪を擦り付けるだけなら、それは“犯人が探偵を騙す”というゲーム盤のみで完結するものに過ぎない。

 その辺はEP5が詳しいか。

 探偵は主観を偽れないことが明かされ、さらにEP1~4まで戦人が探偵であることが明かされた。
 それにより、EP1~4の戦人視点が、戦人が見て感じたそのままであることが保証された。
 で、読者やニンゲン側のプレイヤーは戦人視点+αで事件の情報を得ている。

 探偵視点=読者視点なら探偵を騙せば、結果的に読者も騙せる。
 犯人が探偵と読者のどちらを騙そうとしても、意義は違うが結果は同じ。
 ならば、探偵視点≠読者視点なら、結果に明確な差異がでることになるだろう。
 これもまたEP5が詳しい。


 “探偵=騙される側”なら、EP5ではヱリカが騙されることに。
 そして、今回探偵ではない戦人は容疑者に。

 犯人が夏妃や金蔵でないならば、作中で戦人が論じたように、犠牲者は死んだふりで戦人たちが嘘を吐いているというのは筋が通る。

 でもそれは探偵を騙そうとしていたらの話。
 読者を騙そうとしているのなら話は変わる。


 犯人が読者を騙そうとしているのなら、創造主が読者に見せるために自分のことを記述することを把握していることになる。
 それはつまり、創造主は犯人に協力しているということ。

 創造主は作品内の全てを生み出している。
 特にメタ世界の魔女たちは、ゲーム盤の現実に即しているニンゲンの駒とは違い、縛りが緩い。
 メタ世界の住人は創造主の意のままに動かされるであり駒であり、メタ世界そのものが創造主の意図によって演じられる茶番劇でもある。

 要するに、人間側のプレイヤーだからと言って、信用できるとは限らない。
 特に“探偵は主観を偽れない”と明かしたにも関わらず、主観を全く晒していない探偵とそのプレイヤーは信用に値しない。

 少なくとも“死んでいなかったと騙された”ポイントである、“死体を確認しなかった”のは“ミスだった”ということを保証する“探偵の主観”は必要だったと思う。
 それがない故に、“故意に確認しなかった”ことが否定できない。


 “探偵は主観を偽れない”のと“探偵主観の描写”が合わさることで、信用できる語り手ならぬ、信用できる探偵となる。
 そして、犯人ではない夏妃を犯人にした真実を構築していたメタ世界のヱリカは信用できない人間側のプレイヤーだ。
 戦人は真実を追究するという点で信用できるがヱリカはその点では信用できない。

 信用できない語り手とは要するに、読み手を騙す側ということ。
 普通であれば騙す側と騙される側の両方ともゲーム盤の中にいるはずなのだが、その先入観に囚われると騙される側がゲーム盤の中やメタ世界にすらいないと困ることになる。
 その先入観がある限り、ヱリカは疑われない立場に安住できるというわけだ。


 読者とプレイヤー及びプレイヤーと探偵の不一致はEP5で明確に示されていたことを考えれば、その方向性で考えるのは妥当ではなかろうか。


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  1. 2015/05/16(土) 20:05:34|
  2. 創造主
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プロフィール

フラット・ホームズ

Author:フラット・ホームズ
「うみねこのなく頃に」の某公式サイトで推理を投稿していた。
その時使っていた名前は察してください。
スタイルは、アンチミステリーをチェス盤で引っ繰り返す、というもの。
キコニアでは、世界を箱庭に見立て、そこにどんな駒を置いたのか、それらを動かして最終的にどういう形に持って行くのか、的な感じのを主にやっている。

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