FC2ブログ

うみねこのなく頃に 考察 境界より視やる

PCゲーム「うみねこのなく頃に」の個人的な考察ブログ。「キコニアのなく頃に」についてもガッツリやっている。


北風と太陽

 アンチミステリーについて書かれていると思われる部分を、散からはだいたい取り上げたので、出題編から抜き出してみようと思う。



 まずは第4のゲームを引用し、私の解釈で見てみよう。

『………しかし知っての通り、ビショップは死角ある駒だ。黒のビショップは、そなたが黒きマスに留まる限り絶大な影響力を発揮するが、そなたがひょいと白きマスに一歩逃れれば、妾はそなたの隣に隣接することは出来ても、接触することは叶わぬのだ。
 だから妾は、そなたが白きマスに留まれぬよう、様々な駒を送り込み、そなたの隣の黒きマスを支配する妾の前に弾き出されるようにゲームを進めてきたのだ。
 しかァし!! 今やそなたの城壁はぽっかりと穴を空け、妾はビショップではなく、とうとうクイーンを送り込むことが出来たッ!! クイーンがどういう駒か、知っているか?』
『飛車+角だろ。……言いてぇことはこうかよ。…今やお前は、黒い魔女幻想のマスだけでなく、白い人間世界のマスにまで自由に侵食できるようになったと…!』

『……どうやら、この島のチェス盤は、インク壷でもぶっかけちまったみたいだな。』
『なるほど、それも愉快な表現よ…! くっくくくく、すぐにそなたもそのインクに染まるぞ。やがては真っ黒に染まり、必ず黒きキングになる…! そなたは今や、インクの海に溺れる哀れな存在であるなぁ?』


 黒のマス:魔法説。
 白のマス:人間説。
 黒のマスに弾く:赤き真実で人間説を否定し魔法説を主張すること。
 白のマスがインクに染まる:人間説も幻想に侵食される。

 人間側(戦人)の城壁は、魔法説を防ぐためのもの。
 故に、人間説に対しては穴が開いている。
 そこで白のマスにも入り込めるクイーンを送り込んだ。

 人間側は人間説であると信じたいのだから、人間説ならば簡単に懐に入れる。
 第7のゲームでの、
『我は我にして我らなり。目覚めなさい、我らたち。そして新たな世界に羽ばたきなさい……。』
 も、このゲームにおける人間側の自陣に入り込み、信じられ、一つの魂を持つ存在として確立することを表しているのだろう。


 白黒両方を攻める駒とは。
 解りやすい所では第3のゲームにおけるエヴァ・ベアトリーチェがいる。
 これはエヴァが魔法で殺したとする主張で黒のマスに入り込もうとする駒であり、同時に、黒のマスに入るのを防がれた時に絵羽が犯人であるとして白のマスに張り込もうとする手に変えることができる駒である。
 つまりエヴァという駒は、エヴァが魔法で殺したと主張すると同時に、人間である絵羽が殺したと主張しているのだ。

 例えるなら、これは北風と太陽作戦だ。
 人間説を赤き真実で否定し、黒のマスに強引に弾き出し、無理やり信じさせようとするのは北風。
 魔女幻想を人間説に変換させることで、自ずから魔女の主張を信じさせる。
 それが太陽。

 そもそも人間側からすれば、魔女だと名乗るベアトは、自らを魔女だと主張する人間の犯人に過ぎない。
 ミステリーにおいて、犯人はトリックを使って自分は犯人ではないと主張する。
 そこからすれば、人間の犯人が、別の人間を犯人だと信じさせようとするのは不自然ではない。


 そうであるならば、同じく第3のゲームで語られた「ブラウン管裁判」の話も変わってくる。
 ブラウン管裁判で争われているのは魔法説と人間説ではなく、ベアトの主張と戦人の主張。
 そして、作者である八城の主張と読者である我々の主張だ。

 ワルギリア曰く。
 かつて無知のことを“魔法”と称していた。
 ベアトの主張に耳を傾けたならば、それはあたかも真実に聞こえてしまうかもしれない。
 ベアトのゲームは裁判と言うよりチェスに近く、その決着は戦っている者同士が決める。

 無知ゆえの誤った真実を信じることが魔法。
 そこからすれば魔法説はその内の極一部に過ぎない。

 無知な人間側がベアトの主張を信じれば人間側の負け。
 それに対し人間側は、ベアトの主張を信じないことで負けないことができる。
 即ち、エンドレスナイン。

 故に問題なのは、ベアトが主張しているものは何なのか、ということだ。
 北風と太陽作戦が、北風である“魔法説”と太陽である“誤った人間説”であるならば。
 “誤った人間説”と“正しい人間説”が並び立っていることになる。

 そして、第4のゲームで明かされたように、第3のゲームの南條殺しは二通りのロジックが成立するというもの。

 殺されたふりをしている人物がいて、そいつが南條を殺した後に死亡した。

 ゲーム開始前に金蔵が死亡していて、金蔵の変わりに未知の人物が18人目として入り込んでいたというもの。

 この2つだ。


 第3のゲーム時にこの2つは並び立ち、どちらも否定できない状態だった。
 問題はどちらがベアトの主張なのかということ。

 ベアトが見せた主張はこうだ。

 犯人はエヴァ・ベアトリーチェである。
 エヴァは無限の魔女の称号を継承し、第二の晩以降の儀式を遂行した。

 これを人間説に変換すれば、真犯人は第一の晩、真犯人ではない犯人である絵羽はそれ以降を担当したとなる。
 さらには、真犯人が第一の晩で死亡していることも暗示させている。


 そして、南條殺しが絵羽の犯行ではないと赤き真実で宣言した以上、ベアトの主張では絵羽以外の犯人を主張していることになる。

 そこで関係ありそうな幻想描写を抜き出してみよう。

 ベアトの魔法により、紗音が蘇った。
 死んだはずの嘉音が朱志香を連れ出した。

 第6のゲームをやれば、これが何を主張しているのかは明白だろう。
 即ち、紗音は死んだふり、嘉音が南條を殺した犯人である。

 よって、ベアトが主張しているのは、“殺されたふりをしている人物がいて、そいつが南條を殺した後に死亡した”の方だと解る。
 それが解れば、何を拒否して戦えば良いかが解り、第4のゲームでも戦っていけるだろう。



 第3のゲームの難易度が互角なのは、ベアトが選ばせたい真実を人間側が選ぶ確率が5割という意味。
 第4のゲームの難易度が
『難易度はあなた次第。
 あなたのこれまでの戦い方が、難易度を左右します。』

 というのは、第3のゲームまでに確りと守りを固めておかないと、難易度が跳ね上がるという意味だろう。

 第8のゲームにまで行くとたぶん手遅れ。
 ベルンのゲームで答えは一つと信じてしまうだろうから。
 冒頭の戦人の言、自分を信じろ、というのを信じ、ベルンのゲームの戦人の紫発言を信じられるかどうかが最後のチャンスだったかもしれない。


スポンサーサイト



  1. 2014/07/05(土) 21:04:49|
  2. アンチミステリー
  3. | trackback 0
  4. | comment 0

NEW ENTRY | BLOG TOP |  OLD ENTRY

プロフィール

フラット・ホームズ

Author:フラット・ホームズ
「うみねこのなく頃に」の某公式サイトで推理を投稿していた。
その時使っていた名前は察してください。
スタイルは、アンチミステリーをチェス盤で引っ繰り返す、というもの。
キコニアでは、世界を箱庭に見立て、そこにどんな駒を置いたのか、それらを動かして最終的にどういう形に持って行くのか、的な感じのを主にやっている。

現在時刻

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

咲 (3)

来訪者数

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

QRコード

QR

Designed by U-BOX