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うみねこのなく頃に 考察 境界より視やる

PCゲーム「うみねこのなく頃に」の個人的な考察ブログ。「キコニアのなく頃に」についてもガッツリやっている。


エピソード5 後編

 第5のゲームでは、犯人を金蔵、ヱリカをその協力者として読み解いていく。
 なぜ金蔵とヱリカなのかは既に「私は、だぁれ……?」「隠された人間」「共犯者」辺りで書いているので割愛する。


●事前の準備

 今回のゲームの分岐点は、親族会議以前に蔵臼夫妻以外の親たちが金蔵の死を疑うこと。
 これは親たちの動向を監視させていれば把握できるだろう。

 絵羽たちは、金蔵が既に死んでいてそれを蔵臼たちが隠しているのではないかという幻想を抱いた。
 金蔵の死を隠すには、書斎の鍵を預かる源次と主治医である南條の協力が必要。
 金蔵が生きているかのように見せかけるには、金蔵を見たという使用人たちの証言も必要だろう。
 そうやって幻想は具体的なものになっていく。
 つまり、金蔵の死に関する描写は、絵羽たちが抱いた幻想という可能性がある。

 金蔵が生きている可能性と死んでいる可能性は並び立つ。
 これまでの推理を根拠に、金蔵が生きている可能性を選び取ることにする。


 さて、金蔵が既に死んでいるという幻想が生まれているので、それを利用したゲームにしたいところ。
 ということで、死んだと信じ続けさせようとしたのではないだろうか。
 蔵臼と夏妃にも協力させ、金蔵が生きていることを明かさずに絵羽たちの攻勢をしのぎきれるかどうかも試す。
 名目は蔵臼が次期当主として相応しいかどうか最終テストといった感じか。
 そしてその間、金蔵は屋敷を不在にする。
 このようにすれば、表面的には「金蔵が死んでいる場合」と同じように見えることだろう。

 親族会議より前に分岐したことを利用し、19年前の男として夏妃に電話を掛けた。
 これで夏妃は「19年前の男」の幻想を信じることになり、そのために「19年前の男」の指示に従わされることに繋がっていくことになる。



●探偵幻想の構築

 親族会議が始まり、いつもどおり薔薇庭園にいた真里亞の前にヱリカが現れた。
 真里亞はベアトと待ち合わせていただろうから、ヱリカは自身の正体を明かして内緒にするように頼んだのだろう。
 ヱリカが登場する第5と6のゲームで真里亞を真っ先に第一の晩で殺したのは、口封じも兼ねているからかもしれない。

 プレジャーボートから落ちて漂流したところ、六軒島に着いたという設定。
 これは、外と連絡を取って確認したという源次の偽の報告があれば通る。
 これによって、ヱリカは客人という立場を得ることができる。


 第5のゲームではこの後、事件が起こる前に事件に対処するなんて不自然な行動を取らなくてはならない。
 そこでそれが自然に写るような幻想が必要となる。

 自己紹介で探偵だと名乗り、数々の事件を解決してきたと語る。
 その探偵というのが、どこの物語から飛び出したのかいうほどの「探偵」。
 普通なら「自称」だと思うだけだが、碑文の謎を解いて黄金を見つけ出すという実績を上げたことで、信憑性を得ることが可能だろう。

 信憑性を得た幻想は現実に影響を及ぼす。
 「探偵」だから、事件を解決しようとしても自然に見える。
 「探偵」だから、事件を積極的に調べても自然に見える。
 「探偵」だから、薬品を扱っても、科学捜査だと納得する。
 事件を解決するという大義名分があり、さらに探偵としての実績があるので、ある程度自由に行動させてしまう環境が出来上がってしまった。

 さらには奇矯な嗜好を隠さず、奇人であることもアピールし、理解できない人間であると周知した。
 だから、これもまた「変な探偵」なら仕方ないと流してしまうことになる。
 自分が赴くところでは必ず事件が起こると信じているから、事件が起こる前に行動するのだと。
 要は、金蔵さんならやりかねませんな、の同類。


●第一の晩 アリバイ作り

 まず、ヱリカは戦人と共に碑文の謎を解いて、緊急の親族会議を開かせることにした。
 さらに、解いたという結果だけで満足し、黄金の分け前を要求しないことで拘束されないで済ませた。
 それにより、屋敷組とゲストハウス組に分けることができる。

 24時直前、蔵臼と夏妃は廊下で相談。
 これは黄金を見つける時間を調整すれば24時辺りに調整できるだろう。
 ヱリカが「19年前の男」として電話をし、夏妃を分断、アリバイを奪う。
 秋のカードで身近にいることをアピール。
 秋のカードのトリックは、予め四季全てのカードを別の場所に隠していたか、金蔵が命令で紗音から聞き出したか。
 紗音だけに言ったを赤き真実で言えたので、紗音経由で知った可能性が高い。

 ほぼ同時刻。24時丁度。
 金蔵が食堂の扉をノックして手紙を置いた。
 これは金蔵が「存在しない人間」だから可能だったこと。
 ちなみに蔵臼視点だと、姿を現さずに手紙だったことから、蔵臼に対するテストは続行。
 さらに戦人を次期当主だと認定し、それによって勢い付いた弟たちにどう対応するのか、というテストをさせられているとでも感じてしまうかもしれない。
 これで食堂の全員のアリバイを確保。

 24時、ゲストハウス。
 ヱリカは南條に会い、共に書庫へ。アリバイ確保。
 これで1時までの間、ロビーを素通りして二階に上がることができるようなった。

 金蔵は源次を殺害した後、ゲストハウスのいとこ部屋に向かい、戦人が碑文を解いた祝いとでも称し、薬入りの飲み物でも振舞った。


 1時。
 楼座が退席。
 放っておいた真里亞の様子を見るためではないかと思う。

 それに伴って絵羽も一時退席。
 これは親族会議に参加しなかった夏妃の動向が気になったからだと思われる。
 他にも黄金が見つかった後に金蔵に報告という名目で書斎に行った時、書斎から出てくる夏妃と出合ったからでもある。
 書斎に誰かが出入りしたかどうか。
 その誰かは源次である可能性の有無の把握。
 さらには、ヱリカが絵羽とガムテープの封印を製作したのも、この時に絵羽に源次の死体がある使用人室を封印して欲しかっただろう。

 ちなみに夏妃が書斎にいたのは金蔵の命令によるもの。
 時間と場所を指定して夏妃を待たせておけば、そこに電話を掛けることで親族会議についての報告を受け取ることができる。
 書斎を抜け出していた金蔵は、戦人が碑文を解いて仕掛けを動かすところを見ていた。
 それによってタイミングを計り、書斎で待つ夏妃に電話を掛けた。
 そして、絵羽が書斎から出た夏妃に出会うようにした。

 一方、ゲストハウスに戻った楼座は真里亞がいるであろういとこ部屋へ。
 そして、待ち構えていた金蔵に殺害された。
 この時、楼座はロビーでヱリカと南條と郷田と出会っている。
 無論、ヱリカたちがいたのは、ヱリカが仕組んだこと。
 アリバイを保証し、24時から1時までの間にアリバイがない人物、即ち夏妃を犯人に仕立てるため。


 戦人が戻ってきたら、ロビーの見張りは終わり。
 ヱリカはその後、赤き真実を作るためだけのために、いとこ部屋の隣で戦人の動向を探った。


 朝、金蔵は就寝中の蔵臼の身柄を確保。
 蔵臼の声を録音し、そのテープをヱリカに渡す。
 ヱリカが「19年前の男」として夏妃に電話。蔵臼の声を録音したテープを使用。
 電話を終えると決められた時間、蔵臼の部屋で金蔵が蔵臼を殺害し、死体を隠した。
 これで蔵臼については、夏妃視点では生きたまま人質の可能性が残り、絵羽たち視点では生きている犯人の可能性という幻想が生まれることになる。

 同時刻。
 屋敷に残った使用人たちが源次の死体を発見、夏妃に報告。

 同時刻。
 ゲストハウスのいとこ部屋で、金蔵が仕掛けた目覚まし時計が鳴り戦人が目覚め、4人の死体を発見。
 後からヱリカが現れ、意図的に死体を見ないことで、死んでいないという幻想を読者(プレイヤー)に与える。

 この3つは、使用人の働き始める時刻に合わせれば同時に進行することが可能。


●死体消失

死後、遺体は一切、移動されていない!

 “どこから”移動されていないのかは確定していない。
 第1のゲームの第一の晩、第2のゲームの第7と8の晩という前例を鑑みるに、部屋の外に移動された可能性について否定していると考えていいだろう。
 つまり、遺体が部屋の中にあるのなら、部屋の中から『死後、遺体は一切、移動されていない』と言える。

 蔵臼を殺害した直後。
 金蔵は蔵臼の死体を、部屋の中から『移動させない』でベッドの下に隠した。
 もっと範囲を狭めるなら、ベッドから移動していない、と言うことも出来る。

 やがて発見者たちが屋敷で合流。
 その間に、金蔵はゲストハウスに移動し、いとこ部屋の死体を部屋の中から『一切、移動させない』でベッドの下に隠した。
 そして生存者には、死体は犯人が部屋の外に移動させたという幻想を。
 読者には、死んだふりで戦人たちが協力者であるという幻想を。

 報告を受けた夏妃はまずは蔵臼の部屋へ、次にゲストハウスへ。
 皆もそれに付いて移動。
 その隙に金蔵は屋敷へ。源次の死体を(略)。


●第二の晩 チェーン密室

 夏妃は朝の電話で脅迫された通り、1時に指定された部屋のクローゼットの中に隠れなければならなかった。
 そこでヱリカは、夏妃のアリバイを問い詰めることで客間を飛び出していくチャンスを与えてアシスト。
 予定通り、夏妃はクローゼットに隠れることになる。

 夏妃が出て行ったことで、客間にいる人間は一時休憩に入る。
 妻の前で泣くことができなかった秀吉は、このチャンスに泣いてしまおうと、一人で先にいつも使用していた客室に入って、チェーンを掛けて一人になって思いっきり泣いた。
 妻である絵羽と一緒なら、そのフォローに回ってしまい自身は泣くことができないという性分であると知っていたなら、想定できる行動だろう。
 だから、夏妃を事前にその部屋のクローゼットに隠れさせることができたし、その部屋のベッドの下に金蔵が隠れて待ち伏せて秀吉を殺害することも可能だった。
 そして殺した後に、またベッドの下に隠れた。

 絵羽たちがチェーンを切って室内に入り、秀吉の死体を発見。
 これまでの死体を隠したことで、死体を奪われないように秀吉の死体を確保することに。
 死体は人目に触れさせないためにシーツに来るんで客間に運んだ。

 死体を人目に触れさせないように配慮することは当然のこと。
 ヱリカは真っ先に外から窓を確認したので、秀吉の死体は見ていない。
 死体を見ないために、内側からでも確認できることを、わざわざ外から確認した。
 これにより、秀吉は生きているという幻想を読者に与える事を可能に。




 ヱリカの行動により、本当の真実の他に、夏妃が犯人の物語と戦人たちが偽装殺人をした物語を生み出した。
 探偵が犯人に協力するという汚いトリックではあるが、ゲーム的にはフェアだと思う。


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  1. 2014/02/23(日) 00:23:42|
  2. エピソード5
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エピソード5 前編

 エピソード5から「散」になり、アンチファンタジーvsファンタジーからミステリーvsアンチミステリーに移行した。
 それを象徴する駒が古戸ヱリカだ。

 ヱリカは探偵である。
 探偵は主観を偽れない。
 探偵が観測したことは、誤認や見間違いはあれども、(そのゲーム盤では)実際に起きたことである。
 逆を言えば、探偵が観測していない部分は観測者なき魔女の闇となり、自由に幻想を脚色できるということだ。

 この時、探偵が魔女の闇を意図して作ったかどうかで話は変わってくる。
 魔女の闇は魔女のゲームに必要な要素。
 それを意図して作ったのであれば、それは魔女側の駒ということであり、ゲームをしているメタ世界のことを知っているということでもある。

 例えば、作中のキャラが突然読者に対して喋ったりする漫画などがある。
 キャラがメタ構造を把握していなければできないメタ台詞。
 演劇で言うなら、第四の壁を破るというやつだ。

 作中のキャラが、作中の外を認識できるはずがない。
 なのにそれをしたなら、それは作者がキャラを動かしたものということになる。

 「うみねこ」に当て嵌めるなら、現実的でない描写を俗に幻想描写であるとし、そこでは魔女の都合の良いように駒は動かされる、というところか。
 とは言え、駒にできないことは誰が操ってもできないので、その駒は現実に即した駒ではなく、その代わりに置かれた設定を変更された幻想の駒であることだろう。
 つまり、駒が知りえないことを駒が知っていたなら、それは知っている設定に変更された別の駒ということ。

 わかりやすいところでは紗音や嘉音がそう。
 二人っきりの時、魔法について語ったり、前のゲームの記憶を引き継いでいたりしている。

 今回のゲームでラムダが戦人という駒を動かしていたが、その戦人は買い世界の戦人ではなく、メタ世界の戦人。
 ヱリカと舌戦を繰り広げていた戦人だ。
 これまでベアトと闘っていた戦人は、そのさらに上位にベルンやラムダと共にいる。
 つまり、下位戦人とラムダが動かしていた戦人は別人で別駒なのだ。

 だが、下位世界の駒とメタ世界の駒が同一である駒が存在する。
 それがヱリカだ。


 そもヱリカとは、自身を探偵と称し、自らが赴くところに事件が起こることを自覚し、事件が起こる前から事件解決のために行動するという、メタに自覚的な探偵キャラだ。
 探偵が赴くところで事件が起こるのは作者の都合。
 赤き真実に昇華するための証拠が欲しいのは魔女の都合。
 現実に事件が起こるのは犯人の都合。
 それらの都合を踏まえて動くヱリカは、作者の駒であり、魔女の駒であり、犯人の駒だということ。
 駒を動かすプレイヤーの都合を知るが故に、プレイヤーの意図に従って動くことができるのだ。
 だからヱリカは事件が起こることを知っているし、ゲームが開催されることも、物語として描かれ読者に読まれることも知っている。

 他のキャラは劇だとは知らずに舞台で踊らされているのに対し、ヱリカは観客に見られていることも台本があることも知った上で踊っているようなもの。
 これは大きな違いだ。

 「ひぐらし」では読者が様々なカケラを俯瞰して推理して、犯人はそれを知らずに動いていた。
 だがヱリカは、その読者の視線を意識して動くことができる。
 それは即ち、ヱリカはチェス盤を引っ繰り返して、読者の立場で考えることができるということ。
 簡単に言えば、読者の推理を前提としたトリックを仕掛けられるのだ。


 例えば、探偵が観測しなかったことで犠牲者が死んでいるかどうかが確定しないとする。
 これが探偵が戦人なら、見逃してしまったんだなと思える。
 だがこれがヱリカなら、意図的に死体を見ないことができる。

 探偵が観測しなかったから、魔女の闇になったのか。
 魔女の闇にするために、探偵は観測しなかったのか。
 それによって真実は大きく違ってくる。

 探偵が死体を見なかったことで、読者は本当は死体ではないのではないかと疑う。
 ならば、読者をそう疑わせるために、探偵は死体を見ないようにすることができる。
 つまり、本当にそこに死体があるにもかかわらず、ヱリカが死体を見ないことで死んでいなかったと思わせられるのだ。


 ミステリーの真実の上に、魔女が殺したという幻想を被せたのがファンタジーなら。
 アンチミステリーは、ミステリーの真実の上に、別の人間とトリックによる真実という幻想を被せたもの。
 ヱリカこそはアンチミステリーを象徴する駒。

 実際、ヱリカは赤き真実で否定されていた金蔵を共犯にして、夏妃犯人説でファンタジーを打ち破ろうとしていた。
 確かに、人間とトリックで真実を説明する、ファンタジーの敵ではある。
 だが、赤き真実に反している以上、ミステリーとも敵対する立場に立っているのだ。
 つまりヱリカの立場は、人間とトリックによるアンチミステリーなのである。

 もっと明確に言おう、ミステリーの真実とは異なる人間による真実を構築することがヱリカの役割なのだ。





 ミステリーvsアンチミステリーと戦人視点が信用できるというのは、そもそも出題編で推理可能なことではあると思う。

 第3のゲームにおいて、ブラウン管裁判の例えで、異なる真実が並び立つこと、争うプレイヤーの総意によって勝敗は決まることが語られた。
 さらにその後、ベアトは北風と太陽作戦での勝利では満足しなかったことから、それをご破算にした。
 戦人がベアトを魔女だと認めることは、ベアトの望んだ勝利ではない。
 つまり、ベアトの立ち位置はファンタジーではないのだ。

 ファンタジー以外、アンチファンタジーの中のどこかにベアトの勝利がある。
 ブラウン管裁判でベアトが勝つために主張しているのは魔法説ではなく、人間説。
 しかし、ブラウン管裁判で争うには、異なる真実でなければならない。

 続く第4のゲームで、赤き真実と青き真実のルールが追加された。
 これは思いつきだけで可能性をあげるのなら、後から赤き真実で否定するというルール。
 否定されたくなければ筋の通った推理をするように、というわけだ。

 幾ら可能性を挙げようと、本当の真実はひとつ。
 よって、ミステリーの真実こそが戦人が目指すべき勝利。

 だが、赤き真実による否定を潜り抜けるものが、ミステリーの真実一つではベアトの勝利の目がない。
 ベアトが勝利するためには、赤き真実を抜けるミステリー以外の真実が必要となる。
 よって、ミステリーvsアンチミステリーこそが本当のゲームということになる。

 そして、そうである以上、ファンタジーを標榜する役割を課せられたベアトの役目は終わりであり、もはや負けしかないのである。


 ミステリーの真実も、赤き真実を抜けるもうひとつの真実も、どちらも推理されることによって成立する。
 故に、ベアトのゲームは推理可能である。

 そして第4のゲームで、
妾は黄金の魔女、ベアトリーチェ。そして右代宮金蔵の孫、右代宮戦人と闘うためにこのゲームを開催した。
 と明かした。

 それは戦人には推理可能だという保証だ。
 下位世界の戦人はひとつのカケラで起こった事件しか知りえない。
 故に、下位世界の戦人が観測した情報のみで推理可能にしなければならない。

 さらに、それらのカケラを物語にして書いたメッセージボトルが存在し、その末尾に真実の解明を頼んでいる。
 それは読者ともゲームをしたいということ。
 そしてそのためには、戦人視点は信用できる情報でなくてはならない。


 以上を踏まえて、第5のゲームの話を繰り返させてもらおう。

 第5のゲームでの探偵視点の話は、これまでのゲームの戦人視点を保証するためのものではあるが、それだけではない。
 それだけではただの解答でしかない。第5のゲームの謎にはならない。
 ミステリーだけで、アンチミステリーが存在しない。
 新しい謎がないと第5のゲームの意味がない。
 それではゲームを介してベアトとコミュニケーションが図れない。

 だからそう、新たな謎を提示するために、探偵視点を持ち出したのだ。

 “探偵が見ていない死体は、実際には死んでいるか判らない”。
 これはこれまでのゲームの解答でありヒントであると同時に、新しいゲームにおける新たな謎でなければならない。

 誰にでも解る解答なら、それは解る人には解り、解らない人には解らないものにはならない。
 解る人には謎であると解る。だから解る人にだけ解る解答になるのではないだろうか。



 以上が、私がベアトとゲームを介して独自にコミュニケーションを図った結果だ。
 これまでの話題を踏まえて、新しい話題を提示する。
 そうやって話題は膨らんでいくのだと思う。


  1. 2014/02/22(土) 21:22:30|
  2. エピソード5
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エピソード1 おまけ

 第一の晩の経緯について詳しいことを書いていなかったが、他のエピソードの考察が揃ったのでそろそろ書こうと思う。


 第一の晩が起こる前、譲治のプロポーズを受けてすぐに返答できなかった紗音が照れて屋敷に向かったわけだが、そこの廊下で黄金の蝶を見たという描写がされている。
 これは素直に、ベアトに出会ったと考えていいだろう。

 エピソード2の考察を考慮すれば、紗音は以前にベアトに会っていて、魔女だと信じていることになる。
 譲治と結ばれるきっかけはベアトの魔法のお陰。自身の恋愛についても話していた。

 そんな2人が出会って話す話題はプロポーズの件しかない。
 紗音が覚悟を決めればいいだけなのだが、覚悟が必要なのは婚約した後に起こるだろう絵羽の反対を懸念しているからだろう。
 第2のゲームとの違いは、紗音の覚悟の違いと言っていい。
 第1のゲームではそこまでの覚悟は決まっていなかった。

 ベアトはそれを想定して第1のゲームを作ったのだから、第1のゲームでは覚悟が決まっていない方が都合が良かったことになる。
 覚悟が決まっていないのなら、懸念の方を払拭すればいい。
 つまり、そう誑かすことができるということだ。

 そもそも絵羽が息子の譲治の結婚相手として使用人が相応しくないと反対する理由は、使用人と結婚した人物は次期当主に相応しくないと反対されるからだ。
 右代宮家の人間から認められるなら、絵羽には紗音との結婚をあえて反対する必要はないのだ。

 とか誘導すれば、ちょうど食堂で会議している者たちに、魔法の薬でも混入した飲み物を飲ませるだろうか。

 ベアトは絵羽と秀吉を抜かしたいわけなので、もうひとつ必要か。

 譲治は両親に本心から認めてもらいたいと願っている。
 だから魔法を掛けるのは、絵羽と秀吉を抜かした親族だけにした方がいい。

 とか何とか。
 人間は信じたいものを信じる。
 魔女は人間が信じたいものを信じさせる。
 紗音が魔法の薬だと信じたのは、睡眠薬か痺れ薬かその類。

 紗音は使用人室に戻り、会議も終わったようなので食堂にいる方々にお茶を出しましょうと郷田に提案する。
 隙を見て薬を混ぜる。
 点数を稼ぎたい郷田と共に食堂に向かう。

 後は折を見てベアトが食堂に登場し、郷田と紗音を射殺し、薬で無抵抗になっている人間を殺せばいい。


  1. 2014/02/16(日) 02:00:01|
  2. エピソード1
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エピソード4 後編

 第1~3のゲームが終わったので、エピソード4本来の第4のゲームの進行を推測してみようと思う。


 戦人視点からわかるのは、犠牲者の遺体の状況、先に譲治と朱志香が呼び出されたこと。郷田と熊沢の証言とその後密室に閉じ込めたこと。それから蔵臼と朱志香と霧江からの電話。
 とりあえず人間とトリックで説明しなければならないので、魔法を信じていないはずの者が魔法を見たと言う証言は嘘と判断するしかない。

 憤っていたはずの朱志香も電話で嘘を吐いた。
 これは朱志香が心変わりをした可能性を示している。
 それは憤る理由がなくなったからだろう。
 つまり、そもそも殺人事件など起こっていなかったということである。

 今回の事件は、子供たちの中から次期当主を決めるテストを受けさせるための偽装殺人だった。
 少なくとも朱志香視点では、そう信じるに足るものを見たのだろう。
 しかし、その裏では確かに犯人は殺人を犯しているのだ。





 さて、それでは犯人になったつもりでゲーム盤の駒を動かしてみようと思う。
 私が直接動かせる駒は、犯人と目している18人目のXと金蔵のみ。

 第4のゲームに分岐したのは、親族会議の途中で霧江が金蔵が死んでいるという疑惑に気付き、そこから蔵臼を責め始めたことである。
 金蔵はそれを監視していた嘉音から報告を受け、どうするか相談に来た蔵臼夫妻を書斎に招きいれた。
 そして、親族会議への出席を約束し、当主継承についての重大発表をすると宣言。
 真里亞の薔薇の前で待ち合わせていたが、第4のゲームに決定したことで、ベアトの代わりに金蔵が傘を貸すことに。

 そして、子供たちをゲストハウスに戻し、それ以外の全員が参加する親族会議が始まった。
 親族会議に現れた金蔵は、偽装殺人による次期当主を決めるテストを開始することを宣言、親族会議に参加した全員に協力することを要請した。
 これで子供以外の全員をテストの名の下に自由に動かせることとなる。


 犠牲者の遺体は、真里亞と金蔵を除き、額を打ち抜かれているものと顔面が半壊しているものに分かれる。
 わざとそのような手掛かりを残していることから、共犯2人の内のどちらが作った死体なのか明白にするためのものではないかと思う。

 半壊なのは、食堂の真里亞を除く6人、朱志香、南條、蔵臼、紗音。
 額を打ち抜かれたのは、譲治、霧江、郷田、熊沢。

 顔面半壊は、複数人まとめて殺害していることや、きれいに顔面を半壊にしていることから、睡眠薬か痺れ薬などで行動不能にしてから殺したと思われる。
 毒殺後に顔面半壊でも構わない。

 それらを加味して事件を再構成する。


 まずは郷田と熊沢をゲストハウスに向かわせて、偽りの事件の報告をさせる。
 食堂に第一の晩の犠牲者となる6人を残して、それ以外は裏口近くの客室にでも移動。
 閉じ込められた牢からという設定で蔵臼にも電話で同じことを伝えさせ、ゲストハウスに篭城するように命じさせた。
 その間に金蔵に命じられた源次が食堂に残った人間に薬入りの飲み物でも振舞い、昏倒させたところで金蔵を呼び、金蔵が源次を含む6人を殺害。

 しばらく後、蔵臼を介して金蔵の言葉を伝えさせ、郷田と熊沢を園芸倉庫に閉じ込めさせた。
 その後、霧江に電話させて試験開始。
 最初は朱志香を呼び。
 次に紗音からの電話で、譲治を呼んだ。

 金蔵は嘉音を伴い朱志香の部屋へ。


 朱志香は自室に置かれた手紙を読んで試験を受け、終わったところで嘉音を伴った金蔵が現れて種明かし。
 朱志香も偽装殺人の協力者にして、朱志香に電話を掛けさせるために台本でも渡し、演技指導を行う。
 その間に嘉音に園芸倉庫の鍵を受け取り、中にいる者を脱出されるように命令。


 園芸倉庫には郷田と熊沢の他に、18人目のXであるベアトが隠れ潜んでいた。
 閉じ込められた郷田と熊沢を射殺。死体をロープで天井から吊り下げた。
 園芸倉庫に辿り着いた嘉音は、ベアト窓の外に放り出していた鍵を拾ってシャッターを開けた。
 そこを園芸倉庫の内側にいたベアトが射殺。9人目に殺すのをクリア。

 すぐさま東屋に向かい、東屋で手紙を読んでいた譲治を射殺。
 東屋の壁にもたれるように倒れたことで、額から投げれ落ちた血で服が血塗れに。
 その譲治の死体を東屋の外に放り出し、東屋に到着した譲治が東屋で待っていた人物によって殺害された風に装った。

 その後、ベアトは園芸倉庫に戻り、嘉音の死体は園芸倉庫の奥に隠した。
 奥なら入り口からでは死体が見えないことは、第1のゲームで示されている。

 郷田と熊沢の死体を足が届くようにロープの長さを調整することで、死んだふりをしているところを窓から射殺されたように装った。
 実際は、吊るされた郷田の死体を窓まで持ってきて、台か何かの上にでも乗せ、窓の外から鍵を郷田のポケットに入れて、郷田の死体を台の上から落とし、振り子の要領で元の位置に戻した。


 時が経ち、朱志香の部屋から朱志香が電話をかけ、その後、金蔵が朱志香を殺害。
 その銃声を合図に、霧江に電話を掛けさせ、終えたところをベアトが射殺。
 霧江が使った電話でゲストハウスにかけ、真里亞を屋敷に呼び、続いて戦人に試験の場所を伝えた。

 残る3人は、予め別室で待機していたところを、金蔵に命じられていた紗音が飲み物を振舞い、紗音以外は薬で昏倒。
 紗音は薬が聞く前、飲み物を振舞った後にその部屋を退出し、裏口にでも待機するように命じれば、昏倒するところを目撃されずに済むだろう。
 朱志香を殺してきた直後の金蔵が紗音と合流し、裏口から井戸へ移動。
 そこで紗音を殺害。
 自殺して凶器を井戸に落として隠したように見せかけた。
 後は昏倒している2人を運び、それぞれの場所で殺害。

 ベアトは玄関で真里亞を出迎え、玄関の鍵を閉めた。
 真里亞に毒が入った飲み物を振舞い待っているように頼み、二階のバルコニーに移動して戦人を出迎えた。

 試験の代わりに6年前の罪を思い出し懺悔することを要求し、そして失格。
 未練を断つ。
 屋敷の鍵は礼拝堂にあると言って戦人を誘導し、その間に真里亞の死体を食堂に運んだ。
 さらには、金蔵を殺して焼却炉で燃やし、赤き真実と共にゲーム前に死亡していたように見せかけた。
 全てを終えて、ベアトは書斎に閉じ篭り、そして5日の最後に戦人を殺した。



 そんなところだろうか。
 とりあえず、凶器の違いによる仕分けはクリアできたと思う。
 並び立つ真実用に、紗音の自殺、金蔵の事前の死、嘉音の行方不明、園芸倉庫の密室トリックも揃えた。
 ので、条件を十分に満たしたものを構築できた思うが、どうなのだろうか。


  1. 2014/02/15(土) 23:57:10|
  2. エピソード4
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エピソード4 前編

 エピソード4において、事件前の金蔵の死が確定し、その分の島に存在する人間の数が減らされた。
 金蔵の死については、読者が勝ち取ったものであるという。

 だが本来、事件前の金蔵の死は、19人目のXのための一手だったはずだ。
 それからすると、金蔵の死は勝ち取ったものではなく、妥協の産物にすぎない。
 金蔵の死について勝ち取ったのだから19人目のXは諦めろと、そう諭しているわけだ。

 それはつまり、“金蔵の死”は取らせるために置かれた駒であるということを示している。
 それをそのまま取るということは、敵の思惑に乗ってしまうことになる。
 金蔵の死については赤き真実で宣言されている以上、取るしかないのだが、そのままの形では取りたくはない。
 敵の思惑を超えなければならないと思うからだ。


 当主と共に金蔵の名を継ぐという手掛かりから、皆が知る金蔵は、金蔵という名を持つが金蔵ではない可能性が出てくる。
 それを採用すれば、金蔵の死を認めながら、金蔵という駒を保持できる。
 存在する人間の数は金蔵の分減らされたので、金蔵という駒は存在しない人間として島にあることになる。
 19人目のXもまた、存在しない人間として駒を置くことができる。

 これによってベアトが提示した人数制限も越えられる。
 私はそうやって打ち破ることを選びたい。


 そんなわけで19人目のXで、エピソード4で追加された第1~3のゲームの赤字を抜けようと思う。


■第1のゲーム

●第二の晩 客室のチェーン密室

 戦人の言うとおり、密室内に隠れていた。

●第五の晩 嘉音の死

 露骨に嘉音を怪しめ、さあ取れと言わんばかりの一手。
 当然、その思惑には乗ることはできない。

全ての生存者にアリバイがある! さらに死者も含めようぞ!! つまり、島の如何なる人間にも死者にも、嘉音は殺せなかった!

 これらのことから、“全ての生存者+死者=島の如何なる人間+死者”ということが解り、さらには“全ての生存者=島の如何なる人間”ということも解る。
 よって、“生存者”でも“死者”でもない人間なら、“島の如何なる人間にも死者にも”含まれず、犯行が可能と言える。

●第九の晩 夏妃の死

夏妃は他殺である! 身元不明死体は一切なく、生存者も全員がアリバイがある!
夏妃を射殺したのはトラップじゃなく、ちゃんと銃を構えて引き金を引いてしっかり射殺したのよ!

 “生存者”が生きている全ての人間であれば、“身元不明死体を用いて死亡を偽装して生きている者”も“生存者”に含まれるはずだ。
 だが含めていたのなら、態々“身元不明死体は一切なく”などという部分を加える必要はない。
 このことから、“身元不明死体を用いて死亡を偽装して生きている者”は“生存者”には含まないと解釈できる。
 “生存者”ではないのなら“死者”だであると解釈すべきなのだろう。

 さらには、夏妃を殺した犯人は、夏妃殺害時は生きていた。
 にも関わらず、犯人は“生存者”には含まれていない。
 “生存者+死者”の中に犯人がいるとするなら、犯人は“死者”に分類されているということになる。

 生きているにも関わらず、“生存者”には含まれない。
 そうであるなら、“生存者”とは“生存しているとされている人間”で、“死者”とは“死んでいるとされている人間”と定義されていると解釈できる。
 それは“生存しているとされている人間”+“死んでいるとされている人間”-金蔵=“ゲーム開始時に島に存在している人間”ということだ。
 つまり、“島の如何なる人間にも死者にも”含まれない人間とは、“存在していない人間”であるということ。

 その解釈なら、“生存者”でも“死者”でもない人間であるなら嘉音を殺害することが可能であると言える。
 夏妃殺害も同様。


■第2のゲーム

●第一の晩 礼拝堂の密室

真里亞の鍵は、真里亞受領後から翌日の楼座開封の瞬間まで、誰の手にも渡っていない!!

 “真里亞の鍵”が“礼拝堂の鍵”ではないのなら“礼拝堂の鍵”を使って密室にすることは可能。
 エピソード4で示された手掛かりの中に、真里亞の自宅の鍵がある。
 過去の回想の中で、真里亞は所持していた自宅の鍵をなくしてしまっていた。
 それはつまり、真里亞は普段、自宅の鍵を所持しているということを示している。
 “真里亞の鍵”が“真里亞の自宅の鍵”であるなら、誰も“真里亞の鍵”を持ち出していない。
 楼座が持ち出したのは“礼拝堂の鍵”なのだから。

●第四~六の晩 夏妃の部屋の密室

楼座がマスターキーを管理して以降、それら全ては一度たりとも彼女の手を離れていない! 夏妃の部屋を開錠した時に戦人に貸し出した際を除いてね。

 管理して以降の話なので、管理する前なら犯人はマスターキーを使用できた。

マスターキー全ては楼座が管理した!

 管理「した」のであって、管理「していた」ではない。
 それはこれまで管理「していなかった」可能性があるということ。
 つまり、夏妃の部屋の事件発見時、譲治のポケットから鍵を入手したことで、『マスターキー全ては楼座が管理した』ことになった。


■第3のゲーム

●第一の晩 連鎖密室

マスターキー5本は全て、5人の使用人の懐よりそれぞれ発見された! 個別の鍵は死体の傍らの封筒の中に! つまり、連鎖密室にかかわる全ての鍵が、連鎖密室内に閉じ込められていたわけだ!! ドアの隙間だの窓の隙間だの通気口だのッ、そんなところを使って密室外から鍵を戻すことなど出来ぬぞ!!

 全ての鍵を閉じ込めていて使用不可能であるのなら、犯人は内側から施錠して密室にしたことになる。
 しかし、それではエピソード3で提示された赤き真実、『室内には犠牲者しかおらず、それ以外の人物は室内には存在しておりません。』があるので、犠牲者以外の犯人が内側にいることは不可能。
 犯人が外側から施錠するには、密室内に閉じ込めてある鍵を持ち出さなくてはならない。

 鍵と共に密室内にいることと、鍵と共に密室の外にいることを、同時に満たすことは不可能。
 同時には不可能なら、時間差があるなら可能ということだ。

 連鎖密室を発見後、客間の扉前から外に出て窓を割るまでの間、誰も客間の扉を見ていない。
(正確には、全員で窓側に回ると想定していた、ということだが)
 その間に、客間の中にいた犯人が扉を開けて外に出て、客間の鍵を使って施錠したとする。
 それならば、魔法陣のアピールによる密室発見時は、鍵と共に密室に閉じ込もっていて、窓を割られて密室が破られた時は、犠牲者以外は室内にはいない、と言えるだろう。


 とは言え、この行動は密室を作るためだけなら、必要がない動きだ。
 発見者からすれば、最終的には外から鍵をかけられて密室にされるのだから、中に隠れるという行動は、密室を作るという目的からすれば余分な行動と言える。
 この行動は赤き真実を作るためだけのものだ。

 つまり、プレイヤー及び読者に犠牲者以外には密室を作れないと推理させるための行動だということ。
 純粋な遊びの部分と言える。

●ゲストハウス 譲治の脱出

譲治はゲストハウスの階段を降りてはおらぬ。
外部へ通ずる窓も扉も全て内側より施錠されていたぞ。
しかもそれらの施錠は全て、外側からは不可能!
ならば譲治の兄貴が窓より脱出後、誰かがそれを施錠すればいい!

 これは戦人の推理どおりで良いと思う。
 が、それだけなら、わざわざ赤き真実を使う必要はない。
 エピソード3の情報だけで手掛かりは十分だし、内部の人間が鍵を掛けたというのは下位世界の生き残りの統一見解と言っても過言ではなかったはず。

 なので私は、解っていることだろうけどさらに考えてくれ、というメッセージとして受け取った。
 施錠は外側からは不可能だから犯人は外にはいない、と思わせたいのではないか。
 譲治は蔵臼たちとは違う所から外に出ている、というのが重要ではないか。

 ……そんな取っ掛かりから推理していったわけだが、推理の内容は前回の「エピソード3」で書いたとおりだ。
 省略させてもらおう。





 さて、ベアトはエピソード4において、これまでのゲームを振り返って赤き真実を提示してきたわけだが、これは読者にもう一度考えて欲しいから提示してきたのだろう。
 問題は、読者の推理を否定して、もう一度やり直せと言っているのか、へこたれずに貫くことができるのか試しているのか、どちらなのかということ。

 並び立つ真実という観点から見れば、当然、ベアトはどちらも同時に思っていることになる。
 それらの違いは、赤き真実によって否定されたのか、それとも赤き真実を用いて間違っていると主張されたのかだ。
 前者なら間違いを認めやり直すしかないが、後者ならそれは魔女の主張でしかないのでそれを認めることは魔女に勝ちを譲るようなもの。
 他者の主張によって揺らがないようなほどの強固な意志を持たねばならないのだと思う。

 これは赤き真実と青き真実のルールが表している。
 魔女側は赤き真実によって可能性を否定し、人間側は赤き真実に反しない可能性を青き真実によって提示する。
 その後、魔女側が青き真実を否定する赤き真実を提示できなければ、人間側の勝利。
(尤も、本当は赤き真実で否定できるのにあえてそうしない場合は、本当は魔女側の勝ちなのだが。
 人間側からすれば、試合に勝って勝負に負ける、という感じだ。)

 故に、人間側はただ赤き真実を抜ける可能性を提示すれば良いというものではない。
 次なる魔女の一手で否定されないものにしなければならないのだ。
 そのためにも魔女の意図や思惑を読まなくてはならないだろう。

 魔女側にも赤き真実によって否定できるものとできないものがある。
 そのため最初の手番で、否定できる青き真実に誘導したいはず。
 私なんかはそう読んだわけだ。

 とは言え、否定できないものでも、否定しているかのように見せかけることはしてくるはずだ。
 そこで、間違っていると主張されてもなお信じることができるのかが試される。
 そのためには信じるための根拠が必要になる。
 だが客観的な証拠、つまり物証がないこのゲームでは、状況証拠を積み上げていかなくてはならない。
 点と点を結んで線とし、全ての点を結ぶほどに、強固な“信じる”という意志にすれば、揺らぐことがない真実が出来上がる。
 
 まあ、それができても、正解かどうかは保証されないのだが。
 しかし、他者の主張で揺らぐようでは、後から出される真実によって容易く魔法に掛けられてしまいかねない危険性がある。
 北風に吹かれれば飛ぶようだったり、太陽に照らされれば脱いでしまうようでは他者にコントロールされてしまうので、服を脱ぐならそれらとは関係なく自分の意志で決めるべきだろう。


  1. 2014/02/15(土) 21:44:18|
  2. エピソード4
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エピソード3

 第3のゲームでは新たにエヴァが登場する。
 ベアトという駒が表す犯人は第一の晩で死に、その後はエヴァ、即ち絵羽が犯行を行っているという、魔女側の主張と思われる。
 これまでのゲームで使用人を疑わせていたので、此度のゲームで使用人を殺した後にも事件が続けるために、エヴァという駒が必要になったのだろう。

 そしてそうである以上、第一の晩で使用人が、それ以降は絵羽が犯人であると信じることはできない。
 できるだけそうではない形で推理して行く。


●焼却炉で焼かれた金蔵の死体について

 金蔵の病死については、既知のことだと思うので説明を省かせてもらう。
 金蔵の分が減った18人の枠に、19人目のXを入れるというのも同様。

 前回までのゲームに引き続き、19人目のXを犯人として推理して行く。
 19人目の境遇については、今回得られた手掛かりから、死んだ九羽鳥庵のベアトを踏襲した環境で育てられた、で十分だろう。


 注目すべきは第1のゲームと同様に金蔵の死体を焼いていたこと。
 第3のゲーム焼いたのは死亡時刻と死因を誤魔化すため。
 ならば、死体を焼いたのなら、それは全て死亡時刻と死因を誤魔化すためなのか。

 「死亡時刻と死因を誤魔化したいから、死体を焼却した」が真ならば、その対偶もまた真である。
 だが「死体を焼却したから、死亡時刻と死因を誤魔化した」は対偶ではなく逆だ。
 だから真であるとは限らない。

 第3のゲームにおいては金蔵はゲームが始まる前に死んでいる。
 だからと言って、第1のゲームで死体を焼却された金蔵までも、ゲームが始まる前に死亡しているとは限らない。
 事前に死亡している可能性と死亡していない可能性は、どちらも否定できない並び立つ真実である。
 だから問題は敵手の意図だ。

 今まで金蔵は生きていると思われていた。
 それを前提に推理をしてきた。
 だからこの一手は、その前提を突き崩すための一手である。

 人間側が、幻想を暴き、真実を見つけ出すのならば、
 魔女側は、真実を突き崩し、幻想を生み出そうとしている。
 真実と幻想は裏表。
 魔女の意図が解ったのなら、人間が取るべきスタンスはそれに合わせて決まる。

 魔女側が第一の晩の金蔵も事前に死亡していると思わせたいのなら、人間側はそれに抗うべきではないだろうか。

 第1のゲームで金蔵が焼却炉で焼かれていたのは、第3のゲームで事前に死亡した金蔵を焼却炉で焼くことで、同じように事前に死亡していたという幻想を信じさせようというトリックと考えることができる。
 これは他のカケラを俯瞰して見ることが可能な者に対して仕掛けられたメタトリックである。
 だがまあ、幾つものカケラを俯瞰できるメタ世界で行われているゲームなので、フェアであると言えるだろう。


●分岐点

 第3のゲームにおける4日の出来事は、第1のゲームとほぼ同じ内容である。
 違いが出てくるのは、晩餐で真里亞が手紙を読む場面からだ。

 第1のゲームでは、真里亞は晩餐が終わった後に手紙を読んだ。
 しかし、第3のゲームでは、晩餐の途中で手紙を読んでいる。

 第1のゲームでは、晩餐の後に読んだことで、食事が終わった子供たちは、大人たちが言い争う食堂をすぐに離れて客間に移動することになった。
 そのことにより、子供たちをゲストハウスに戻すために会議を一時休憩させたことで、夏妃が会議から離脱することになったのは、エピソード1で述べたとおりだ。

 それに対し第3のゲームは、晩餐の戸夕で読まれたことで、食事の途中だった子供たちは食事を続けることになり、子供たちの前で言い争っていた大人たちはそれに気付き、子供たちにゲストハウスに戻るように命じることになる。
 休憩が入らないから会議はそのまま続き、夏妃が会議に参加していることで、絵羽と無駄に争うことになり、会議は朝まで続くことになってしまった。

 僅かな違いで引き起こされることが違ってくることを、犯人が想定していることに驚愕すべきなのだろう。
 こういう些細な部分から、魔女の想定の深さを垣間見て感じ入るのもうみねこの醍醐味なのかもしれない。

 閑話休題。
 この些細な違いは、ベアトが故意に起こしたものだ。
 真里亞に手紙を渡す時に、時間を指定したのだろう。
 第1のゲーム同様の展開にしてしまうと、金蔵がすでに死んでいるゲーム盤では、金蔵の書斎脱出も夏妃の心に片翼を授けることもできない。
 だから、金蔵が死んでいることでできるゲーム盤を用意することにしたのだ。
 それが第3のゲームである。


●第一の晩 連鎖密室

 犠牲者は6人。
 現場は、一階客間、二階客室、三階控え室、二階貴賓室、地下ボイラー室、礼拝堂。
 各現場には犠牲者が各一名で、全部密室。
 マスターキーは各使用人のポケットの中で発見。
 各部屋に置かれた封筒の中には次の部屋の鍵が入っていた。
 発見者は、一階客間の窓ガラスを割って侵入。
 二階客室、三階控え室、二階貴賓室、地下ボイラー室、礼拝堂の順に移動した。

 これらの情報から、発見者には一階客間から入って欲しかったことが窺える。
 扉を壊すより、窓ガラスを割る方が費用が掛からず、何よりも金蔵に対して言い訳できないというのもあるだろう。
 だから、唯一窓を割れる一階客間が選ばれた。
(礼拝堂が事件現場になっていることはその時は知られてなかった)
 そしてそのことは、順番が異なったら犯人の都合が悪いことを示している。

 後はどの密室も同じ状況というのもポイントだろう。
 同じ状況が繰り返されるなら、流れ作業で最後まで辿り着いてしまう。
 それはつまり、どうせ同じだという幻想を使って、何かを隠した可能性を示している。


 順番が変わることで都合が悪くなるのは、連鎖密室の最初と最後。
 最初に選ばれることで他の部屋とは異なる部分。
 それは、鍵を使って入っていないということ。

 最後に選ばれることで他の部屋とは異なる部分。
 それは、置かれていた鍵を使うことなく終わったということ。

 発見者たちは礼拝堂に置かれていた客間の鍵が本物かどうかは確認していない。
 よって連鎖密室は、最初と最後が繋がった輪となっているというのは幻想で、本当は最初と最後が途切れた鎖だった可能性がある。

6つの部屋には誰も隠れていない!
室内には犠牲者しかおらず、それ以外の人物は室内には存在しておりません。

 鍵についてはエピソード3では赤き真実では言及していないので、客間の鍵を所持した犯人が密室の外にいればいい。
 後はエピソード4で詳しくやろうと思う。

 絵羽(発見者)が犯人であるというパターンと使用人(犠牲者)が犯人であるというパターンを除外すれば、こんなものだろう。


●第二の晩 真里亞の薔薇

楼座と真里亞は死亡した
死因は南條の見立て通りだ
楼座と真里亞の二人は他殺です

 楼座と真里亞は19人目のXに殺された。
 楼座は押し倒されて柵に貫かれて、真里亞は背後から首を絞められて。

 その時、楼座は銃を所持していたにもかかわらず、銃を撃たなかった。
 見知らぬ者が近付いてきたら警戒を怠らないはずだ。
 ならば見知った人物が現れたのだ。
 現れたのは19人目のX。魔女の肖像画と同じ姿をした人物。
 楼座が同じ姿をした九羽鳥庵のベアトと知り合いという手掛かりは得ている。
 なので問答無用に引き金を引くことはできなかったことだろう。
 楼座に過去の話をし、罪を許すとか、気にしていないとか、そのようなことを言いつつ近付き、不意を着いて杭にささるように押し倒した。
 柔道辺りの投げ技を習得すれば可能な芸当だろう。

 無論、良く似ているとはいえ別人なので、並べたら別人だと判ることだろう。
 しかし、楼座は九羽鳥庵のベアトと一度しか会ったことがなく、トラウマからその思い出を忘れようとして極力思い出さないようにしていたはず。
 なので、九羽鳥庵のベアトと特徴が一致している19人目のXの肖像画を飾ることで、九羽鳥庵のベアトの姿はこうだったはずとイメージを摩り替えていったのだと思われる。

 真里亞については、ベアトが楼座を魔法を使わずに殺したことから、疑念を抱き逃げ出そうとすると想定したのだろう。
 背後から首を絞めて殺すことにした。


 問題はどうやって2人を誘き出したのかだ。
 2人が薔薇庭園に来たのは、真里亞が真里亞の薔薇を心配したから。
 その薔薇は、消えた萎れた薔薇をベアトが蘇らせたもの。
 蘇らせたというのは幻想なので、近くの薔薇に印を付けて、真里亞に蘇ったと信じさせただけ。
 そしてその時にでも、明日第一の晩が終わった後に薔薇が台風で飛ばされていないか確かめて欲しいとでも頼めば、第二の晩に薔薇庭園に誘き出せるだろう。

 さて、このためには、消えた薔薇がなくてはならず、そして後に消えることになる萎れた薔薇がなくてはならず、萎れた薔薇が真里亞の薔薇にならなければならない。
 簡単に言えば、萎れた薔薇が真里亞の薔薇になることから作為的に感じると、まぁ、そういうこと。

 例えば、ベアトは真里亞と待ち合わせをしていたとしよう。
 第2のゲームでは真里亞はベアトを待っていると言っているし、他のゲームでもだいたいは真里亞の薔薇があった所でベアトと会っている。
 そのことからも、萎れた薔薇はベアトと真里亞の待ち合わせの場所である可能性は高い。
 そうであるならば、萎れた薔薇はベアトが用意したと考えるのが自然だろう。
 使用人には金蔵から命令しておけば、薔薇を処分することはないだろう。

 島に到着して薔薇庭園に着いた真里亞は、待ち合わせの目印である萎れた薔薇を確認する。
 その様子を見た譲治は、気を利かせて真里亞の薔薇であることを直ぐにわかるように目印を付けた。
 譲治の性分だと勝手に気を利かせるから、そうなることも想定できたことだろう。

 その後、萎れた薔薇を摘み取れば、真里亞は薔薇が消えたと騒ぎ出す。
 そして楼座に怒られ、ひとりぼっちで取り残される。
 そこにベアトが現れるというのが、だいたいの筋書き。
 後は、立っているフラグを確認して、ルーレットに従って行動を変えればいいだけ。

 今回は薔薇を蘇らせ、第二の晩の布石とした。


 後は絵羽のアリバイについて。
 楼座たちはエヴァに殺されたという描写がされた。
 これは魔女側の絵羽が殺したという主張であり、そうだと信じさせたい幻想だ。
 よって、絵羽犯人はありえない。

 絵羽犯人がありえないのなら、絵羽の動機として描かれた、楼座が碑文を解いて絵羽と意見を違えたという描写も幻想ということになる。
 だから、“絵羽は楼座を殺すためにゲストハウスを出ることはない”。
 なのに、“絵羽は楼座殺害時にゲストハウスを出た”。

 行動式について考えることは、“霧江の行動式”で示されている。
 明確な理由がなければ、絵羽はゲストハウスの外には出ないだろう。
 第3のゲームにおいて、絵羽がゲストハウスを出るに足る理由が示された描写は、碑文を解いて黄金を見つけるものだけだ。
 だが絵羽が黄金を見つけた描写は、楼座殺害時の前の出来事として描かれている。

 ならばその描写が幻想であれば、絵羽が黄金を見つけたのは楼座殺害時であると言えるだろう。
 絵羽は楼座殺害時は秀吉に協力してもらってアリバイを作った上でゲストハウスを出ている。
 しかし、黄金発見時ではそのような様子は描かれていない。
 それはつまり、絵羽は黄金発見時にはアリバイの確保をしていないということだ。
 両方とも誰にも知られたくないのにも関わらず。

 そもそも絵羽が体調不良のふりをしたのは、楼座と真里亞が薔薇庭園に向かうことを決める前のことだ。
 絵羽が体調不良のふりをしたのが、不在時のアリバイ確保のためであるならば、これはおかしい。
 楼座を殺すためにアリバイを確保したかったのなら、楼座が薔薇庭園に行くことを予め知っていなければならないのだ。
 よって、絵羽が黄金を発見したのは楼座殺害時だと判断した。

 まぁ、ベアトに教えてもらっていれば絵羽でも可能なのだが。
 とは言え、絵羽にやらせるくらいなら、自分でやった方が話は早い。 
 楼座の銃がそのままにされていたことも、ベアトの犯行だと示している。

 絵羽は犯人であれば、楼座の銃はどこか見つからない所にでも隠して、19人目の仕業にでも見せかけるべきだからだ。
 銃を残してしまえば逆に、その銃を所持していたら犯人だと明白になってしまう内部の人間による犯行であると推理されかねない。

 そして、チェス盤を引っ繰り返せば、19人目のXには銃を残していく理由が存在することになる。


 ちなみに、真里亞が薔薇のことで駄々を捏ねるタイミングを、絵羽と秀吉が部屋に戻った直後にすれれば、タイミングは完璧になる。
 あとは絵羽が碑文が解けるかどうかだが、当主継承という餌と同時に挑発もすれば絵羽は本気で碑文を解こうとするだろうから、解いてしまう確率は高く見積もっていたとは思う。
 とりあえず時間切れはベアトの勝利なので、生き残りを上手く分断できなくれも最終的には爆発で終わるので構わないのかもしれないが……。
 あるいは、礼拝堂のレリーフを確認すれば判別できるので、解けなかった場合の計画でも立てているのやもしれない。


●第四~六の晩 玄関ホール

 犠牲者たちの動きは作中でやったとおりだ。
 霧江が煙草から絵羽のアリバイを保証している秀吉が嘘を付いていると推理し、それを問い詰める為に食料を確保してくるという名分で秀吉を屋敷に連れ出した。
 そして、そうゲーム盤でなっている以上、ベアトはそれを想定していたということ。
 秀吉が嘘を付く緊張から煙草を吸うことも、それを発見した霧江が推理することも、ゲストハウスから出るための嘘の名分すらも。

 犯人が絵羽で秀吉がそれに協力していると考え、秀吉を問い詰めている留弗夫と霧江は、周囲を警戒せずに秀吉と言い争っていたことだろう。
 だから、銃を持っている3人を簡単に殺せた。


●第七~八の晩 ゲストハウスの密室

 ゲストハウスの外で蔵臼、夏妃、譲治が殺害されたが、それ以外の生き残りがいたゲストハウスは内側から施錠された密室だった。
 犠牲者がゲストハウスの外に出たのなら、出たところの鍵が開いていなければならない。
 そのはずなのに鍵が掛かっていたということは、内側にいる誰かが鍵を閉めたということ。
 つまり、犯人はゲストハウスの中にいることになる。

 と、主張しているわけだ。

 そのようなこと、内側の人間がするはずがない。
 鍵を開け放つことで、外に犯人がいると主張するのが最善手であるからだ。
 逆に外の人間が犯人だった場合は、犯人に都合が良いとということになる。

 犯人でない人間が知らずに施錠したということも考えられない。
 一度全ての鍵を閉めたはずなのに、それが開錠されていたということは、内側にいる誰かが開けたということ。
 そして、開けたなら犯人が入ってこないように閉め直しておかなければならない。
 なのに施錠しなかったのは、開錠した誰かはその後施錠することができなかったということになる。
 つまり、誰かが外に出てしまったということを示しているのだ。
 それなのに施錠したということは、それを知っていて施錠したということになる。

 まとめよう。
 犯人が内側から施錠するはずがないので、犯人は施錠していない。
 施錠した人間は、誰かが外に出たことを知った上で施錠した。
 さらに言うならば、犯人はそうなることを想定していた。
 内側にいる人間が疑われるのだから、犯人は内側にいるはずがない。


 では、施錠した人間を探ろう。
 施錠した人間にとっては、施錠すれば外に出た人間がゲストハウスに入ることができなくなることは、無論承知の上だろう。
 犯人がいる外に締め出されれば、犯人に殺されてしまうかもしれない。
 それを望んで締め出したのなら、それは犯人に殺されても構わないという未失の故意だ。

 その殺意の手掛かりが存在するのは絵羽だ。
 なぜ屋敷に行くのを止めなかったのかと、蔵臼を責める描写が存在している。
 絵羽には蔵臼と夏妃が死んでも構わないと思っていたこどだろう。
 だから、外に出た蔵臼たちを鍵を施錠することで締め出し、犯人に殺されることを望んだ。

 蔵臼たちと席を共にしていた絵羽は、席を外した。
 そして、その間に蔵臼たちはいなくなった。
 つまり、席を外している間にこっそりと外に出るように仕向けたと考えれられる。

 絵羽は自分が席を外せば蔵臼たちが外に出ると予想していた。
 しかし、“蔵臼たちにはゲストハウスを出る理由はない”。
 だから外に出るだけの“理由”を与えなければならないだろう。
 そして、その“理由”は存在する。
 絵羽自身、その“理由”でゲストハウスの外に出ているのだから。

 つまり、蔵臼たちは碑文を解いて黄金を見つけるためにゲストハウスの外に出たのである。

 後は簡単だ。
 蔵臼たちは礼拝堂のレリーフの仕掛けを動かすために、一人は梯子か何かの上に登らなくてはならない。
 残る一人は、それを支えるために下にいることになる。
 だから、その後ろから忍んで近付けば気付かれることなく、紐で首を絞めることができる。
 絞殺なので声を上げることなく殺せるので、上のもう一人には気付かれることはない。
 残りも絞殺すればおしまい。


 次は譲治の殺害について。

 絵羽には譲治に死んで欲しい動機は存在しない。
 だから、絵羽には蔵臼たちが開けた鍵を閉めることはしても、譲治が開けた鍵を閉めることはない。

 何が言いたいかと言えば、蔵臼が開けたところから譲治は出ていないということだ。
 窓でも扉でも先に開けられていたのなら、そこから誰かが外に出たということに気付くはずである。
 それを知りながら誰にも知らせないなど、譲治の性分からすればできないことだろう。
 だから譲治が外に出たところは、譲治自身が鍵を開けたと思う。

 エピソード4を先取りすれば、赤き真実で譲治は一階に降りていないことが確定するので、譲治は二階から外に出て、蔵臼たちは一階から外に出たことになる。

 つまり、絵羽が施錠したのは、蔵臼が開けた一階の鍵だけで、譲治が開けた二階の鍵は他の人間が掛けたということになる。
 絵羽以外のゲストハウスの内側にいる人間には、譲治が死んでも構わないという動機の手掛かりは存在しないように思う。
 なので、施錠した人間は、犯人しかいない。

 犯人であるベアトの姿をした19人目のXは、蔵臼たちが鍵を開けたところから侵入。
 そして譲治が開錠した鍵を施錠して、元の場所から脱出。
 その後、絵羽が蔵臼たちが開錠した鍵を施錠。
 これでゲストハウスの密室は完成。

 残るは譲治が客間に向かった理由。
 普通に考えれば、紗音の死に顔を見に、と言ったところだろうが、個人的にはそれでは弱く感じる。
 何もその時に行かなくてもいいだろうという気がするからだ。
 なので、出来るだけ描写された通りに読み解いて行こうと思う。
 勿論、人間に不可能な部分は、可能なことに置き換えるつもりだ。

 譲治が戦人たちと共にいた部屋から出たのは、コーヒーのお変わりを入れてくるためだった。
 しかし、その名目は席を立つためのもので、実際は金蔵が死んだ愛人ベアトリーチェを蘇らせる研究をしていたことに共感し、感情を露にしてしまったことを誤魔化すためだ。
 そして、そう描写されたということは、ベアトはそうなると想定したということ。

 ベアトを蘇らせることを望んでいた金蔵が碑文の儀式の生贄にされたことで、金蔵の研究の話題がされることは想定できる。
 その話で、昨夜紗音にプロポーズをするほどの決意で愛することを誓った譲治が、愛する人を亡くし、それを蘇らせたいという願いに共感してしまうことも想定できる。
 そして、他人に気を遣う譲治が、気まずい想いをさせないように席を立って誤魔化そうとするのも想定できるだろう。

 だから、ベアトの姿をした19人目のXは、譲治が部屋を出てくるところを待ち伏せることができた。
 そして譲治に、紗音を蘇らせたくはないかと囁いた。

 愛する人を亡くして心が弱っていて、愛する人を蘇らせたいという願いに共感して心を揺さぶられた直後にこの悪魔の囁きをされたら、もしかしたらと万が一の可能性に縋り付いてしまっても仕方のないことかもしれない。
 何しろそのベアトは、内側から施錠され外側からは入ってこれないはずのゲストハウスの中に入ってきたのだから。
 それも一階に大人たちがいるはずなのに、誰にも気付かれることなく。
 譲治にはそれが人間には不可能なことを成し遂げることができる魔女の証明に思えたかもしれない。

 ベアトのことを信じることにした譲治は、ベアトの命に従い一階にいる者に気付かれないように二階から出て、紗音の死体がある屋敷の客間に。
 ベアトは残って中川から鍵を施錠し、一階を通って屋敷に向かい、客間で譲治を殺害した。

 この時の譲治の空中浮遊の描写は幻想なのだが、これは譲治が感じたであろう、現実感が喪失したふわふわした感覚を表しているのかもしれない。


●第九の晩 南條殺害

 南條を殺した犯人は19人目のX。
 赤き真実の抜け方は省略しても構わないだろう。

 では、犯人はどのように南條殺害を想定したのか。

 南條は使用人室の前の廊下で殺された。
 これは南條が使用人室に来ると想定していたからだ。
 南條は朱志香が怪我をしたから、その治療のために治療道具が置いてある使用人室にやってきた。
 ならば朱志香の怪我を想定すればいい。

 朱志香の怪我を想定するには、絵羽と朱志香が争うことを想定していればいい。
 争いの原因は、朱志香が絵羽が犯人であると疑ったこと。
 疑いの原因は、ゲストハウスが内側から施錠された密室だったこと。

 犯人はゲストハウスが内側から施錠されることを想定していた。
 だから後は、蔵臼と夏妃の死体を発見させて朱志香に怒りで暴走するように仕向け、絵羽には譲治を死体を確認させ精神を不安定にさせた。
 それによって朱志香は絵羽に食って掛かり、絵羽は誤って引き金を引いてしまった。
 朱志香は高確率で何らかの怪我をしてしまう。
 絵羽はさらに混乱し、責任回避するために現実逃避に走る。
 戦人は絵羽を一人きりにはできないので、絵羽につついて行く他ない。
 だから、使用人室には怪我人の朱志香と南條しかいないという絶好の機会が生まれることになる。


●戦人の死

 戦人は絵羽に殺されたと描写されているが、戦人視点でないので疑うことは可能。
 とはいえ、戦人が殺された事件の手掛かりはそれしかないので、絵羽が戦人を殺したのは間違いないだろうと思う。

 ただし、戦人が絵羽が犯人だと確信したという描写には疑問を感じる。
 自身が絵羽に殺された以上、戦人視点では絵羽が犯人で確定。
 そうなれば、自分以外も殺しているに違いないと思い込むのが自然である。
 殺された戦人が絵羽が犯人だと主張しているだけで、絵羽が他の事件の犯人であるのが真実ということにはならない。


 戦人視点を再構成してみよう。

 戦人から見て、ゲストハウスが密室だったという状況から、犯人は内側にいると考えるはず。
 容疑者は戦人を抜かして3人。内、自身と共にいた朱志香にはアリバイがある。
 そして、殺された南條はおそらく犯人ではないと考えるだろう。
 となると、ゲストハウスの鍵を内側から施錠した犯人は、絵羽しかいない。
 絵羽には南條は殺せないが、ゲストハウスの件は間違いなく絵羽である。

 とまあ、そんな風に考えたのではないだろうか。


 続いて絵羽視点で再構成。

 絵羽から見ても、ゲストハウスを密室にできたのは内側にいる人間。
 そして、その人間こそが譲治たち3人を殺した犯人だと思っていたことだろう。

 南條が殺され、戦人は自身と共にいてアリバイがある。
 なら南條を殺したのは朱志香ということになる。
 そして、朱志香が犯人であるのなら、ゲストハウスの密室時の朱志香のアリバイを保証する戦人も共犯ということになる。

 南條は銃殺。つまり、朱志香は銃を所持しているということ。
 勿論、その銃は留弗夫たちから奪った二丁の銃の内のひとつ。
 残るもう一丁は戦人用。
 今は戦人は持っていないが、隙を見て持ち出してくるだろう。
 そうなれば、自分が銃を所持していても、相手は銃を所持した2人。
 とてもかなうはずがない。

 だから、朱志香と合流しておらず、戦人が銃も所持していない今こそが最大のチャンス。
 先に戦人を始末し、その後に朱志香を迎撃する。
 それしか生き延びる可能性はない。

 ……そんな風に考えてしまったのではと推測する。


 さて、それら正解だと仮定すると、朱志香が行方不明になった理由も説明が付く。
 つまり、戦人を絵羽に殺させるために、朱志香の死体を持ち出して隠したということ。





 全てのゲームを見渡しても、今回のゲームほど綱渡りは存在しないと思う。
 犠牲者たちを信じなくてはできない計画で、普通の人間にはそれに賭けることはできそうにない。
 それを絶対の意志で運命に従うベアトはどのような心境なのか。
 犠牲者たちの真実だけでなく、そこから派生する感情、意志、行動まで信じている。
 それは他者の行動式について、絶対の真実である赤き真実で保証するほど。
 ベアトの中ではそれは絶対だと信じている証左であると言えるだろう。

 さらには、その行動式の絶対すらも、ベアトの無限の運命の中ではひとつの可能性に過ぎないわけで……。
 真実はどこまでも深い場所にあるようだ。


  1. 2014/02/08(土) 23:47:07|
  2. エピソード3
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エピソード2 後編

 第2のゲームをどうやって想定して計画したのか。

 とりあえず抑えておくべきは、譲治たちが夏妃の部屋に向かった理由。
 提示されている理由は、夏妃の霊鏡を取りに行くためというもの。
 それ以外の理由の手掛かりはないように思われる。
 よって、その理由であるのは間違いないだろうことから、その理由が嘘か本当かによって虚実が分かれる

 私の立場は、譲治たちは純粋な被害者であるというもの。
 なので、紗音が霊鏡を割ったことでベアトの力が復活して惨劇が起きてしまったということを、信じてしまっているのだと、そう信じねばならない。
 そこから始める。


●魔女との交流

 事件が起こる前に紗音がベアトと出会い交流していた。
 これを全て幻想であり、妄想であるとするのは簡単だ。
 だが、人間に可能な部分は人間とトリックで説明するべきだろう。

 前提として、使用人の間ではベアトの怪談がまことしやかに噂されていて、紗音はそれを信じている方の人間だった、というのがある。
 なので、ベアトが紗音の前に現れても、ベアトの姿をした人間とは見ず、魔女ベアトリーチェとして認識する。
 特に、心が弱っているところに甘言を囁いたのは良く効いたはずだ。

 結果を得るには行動しなければならない。
 行動するには意志を持たなければならない。
 意志を持つには信じることから始めなければならない。

 紗音は譲治と結ばれることができるとは信じられなかった。だが信じたかった。
 信じたい物の前に信じたいものをぶら下げれば、何れ飛びつくことになるのは必定。
 それも猶予を与えることで、自ら選び取るようにした。
 自ら選び取ったものを反故にするのは難しい。
 なにしろ過去の自分を否定する行為なのだから。
 
 そして去る時、紗音と嘉音に痣を残し、夢幻ではなく現実に体験したことだと強く認識させた。
 痣を付けた蝶は過程に幻想を修飾したもの。
 現実では、煙管で軽い火傷を負わせたといったところだろう。

 結果、紗音は霊鏡を割った。
 それはベアトが語った設定を受け入れたということ。
 これが遠因となって、夏妃の部屋に霊鏡を取りに行くことになった。


 その後、紗音はベアトと会うこともあり、その度に交流した。
 でもそれは全部ベアト側からの接触。
 それはつまり、準備万端で待ち伏せできたということ。

 薔薇庭園で薔薇のアーチの上に座って登場などは、そこで座って待っていればいい。
 板状の物でも設置すれば、薔薇を潰さずに座れるかもしれない。
 まぁ、そこまではやっていないかもしれないが、薔薇が潰れたら後で源次辺りにでも直させるか誤魔化せるように整えれば大丈夫だろう。

 その後に海岸に移動。
 テーブルは予め設置しておけば準備完了。
 ルーレットの結果、使われないならそれはそれでいい。
 お茶会終了は、紗音が仕事に戻る時なので、テーブルは紗音が去った後に片付ければいい。
 魔法でテーブルを消したのは修飾された幻想。

 魔法を見る観客は、舞台の上で繰り広げられる劇だけ見ればいい。
 舞台の準備やら片付けなど、見れば台無しの部分は見せるわけがない。

 嘉音が目撃した、ベアトの姿が見えない金蔵は、現実にあったこと。
 ただ、金蔵にはベアトが見えていないというのが嘘。
 見えていなふりをすることで、ベアトは波長の合った人にしか見えない、という幻想を信じさせた。

 紗音が目撃したと回想していた、夏妃にはベアトが見えない、というのはそれ自体が幻想だと判断。
 理由としては、金蔵と夏妃で二重になっているので、片方はなくても構わないというのが1つ。
 金蔵がベアトの姿が見えないという設定は第1のゲームで金蔵自身が言っていたという手掛かりがあるのに対し、夏妃のは他に手掛かりが存在しないというのが1つ。
(第5のゲームでの、夏妃とベアトの交流は全て幻想。金蔵が生きている以上、金蔵が死んでいるという幻想が修飾されていただけ)
 まぁ、夏妃がベアトのことを知っていたら、他のゲームが破綻しそうというのが最大の理由なのだが。


●第一の晩 礼拝堂のハロウィンパーティー

 第2のゲームと第1のゲームは、薔薇庭園に着いたところからすでに異なっている。
 真里亞がハロウィンのお菓子を持っているか、いないかによって違ってしまったのだろう。
 よって分岐はそこにあるだろうことが解る。

 楼座たちは、駅にある店で朝食を食べた。
(エピソード4を見る限り、楼座は食事を外食で済ませることが多いらしい)
 駅にある店は幾つかあるだろうから、その中でハロウィンをやっている店に偶然に入ったのかもしれない。
 その場合は、その駅にある店のことを把握すれば偶然を想定できる。

 あるいはその後、真里亞の機嫌を取るために、途中の駅の近くでハロウィンのお菓子を探して見つけられるかどうかの偶然なのかもしれない。
 とりあえずそのことを想定しておけば、途中の駅近くで売っているハロウィンのお菓子を予め用意しておくことは可能だろう。

 真里亞に、薔薇庭園で楼座に怒られたらそこで会うことを約束しておけば、真里亞はそこでベアトを待つだろう。
 第2のゲームでは、ゲストハウスに辿り着く前だった。
 きっとそこで怒られなかったら別のゲーム盤に移行していたのだろう。
 とりあえず、ハロウィンのお菓子を手に入れたのなら、薔薇庭園で皆に配れとでも真里亞に言っておけば、高確率でなるのかもしれない。どうなのだろうか。


 そして、来客として現れたベアトは、楼座と真里亞に封筒を渡して屋敷の中へ。
 貴賓室に泊まり、昼食と夕食で紗音と嘉音に顔を見せ、力を取り戻して屋敷に現れたのだと見せ付けた。
 このことが原因で、第1のゲームとは異なり、紗音は譲治のプロポーズを受けることを即断することになる。


 夕食後、楼座が手紙を読んだはず。
 これは礼拝堂への招待状だと思われる。

 礼拝堂にて、親たちに黄金のインゴットを見せ、黄金の管理人だと信じさせた。
 その折には、蔵臼が所持しているインゴットも持ち寄らせ、本物かどうかを見比べさせる程度はしたのではないかと思う。
 そして、黄金を餌に、魔女だと認めさせた。

 ここからは推測になるが、6人を同時に殺害していることから、パーティーの飲食物に睡眠薬でも混ぜていたのではないかと思う。
 となると、同席していたであろう楼座は殺されず、睡眠薬で寝ていたところをゲストハウスに運び込まれたと考えるべきだろうか。
 そうだとするなら、礼拝堂の事件を知った楼座は、すごく警戒することになったと思われる。

 礼拝堂の鍵については、真里亞に渡してあった封筒から取り出して使い、その後に元に戻した。


●第二の晩

 礼拝堂の事件を金蔵に報告しなくてはならないので、源次と紗音を向かわせた。
 使用人のトップであり金蔵の信頼が厚い源次を選ぶのは当然。
 だが殺人犯がいる中で一人では危険なので、その次の序列の紗音がお供に選ばれるのも自然の成り行き。

 だから、親が殺されたことで最も熱くなり易い朱志香が暴走して、最も怪しい来客ベアトのもとへ向かった時、同行させる使用人は嘉音と郷田しか残らなかった。


 貴賓室に朱志香が向かうことを想定していたので、貴賓室に手紙を残すことができた。
 その手紙を読んで朱志香は激昂。喘息の発作を引き起こし、自室へ。

 朱志香の両親が死亡したことで、朱志香には頼れるものはいない。
 それに対して、自分が何とか支えなければ、と嘉音が奮起する可能性が高いと読んだのだろう。
 そうなると、嘉音は郷田に自分に任せて欲しいと訴えることになる。
 だから、朱志香の部屋に入るのは朱志香と嘉音の2人だと想定した。

『…あの、………お嬢様はご自分の部屋に施錠される習慣はあまりありませんでした。ただ、学校に行かれる時だけは、旦那様などに勝手に部屋を見られたくないと言って施錠されていたようですが…。』

 学校もなく、親族会議中に娘の部屋を検めることもないだろうことから、朱志香は自室に鍵を掛けていなかったと思われる。
 なので、朱志香と嘉音が鍵を使って朱志香の部屋に入ったという描写は幻想であると判断する。
 これにより、犯人である来客ベアトが朱志香の部屋に予め潜んでいることができることになる。

 第1のゲームの絵羽と秀吉は、真正面から額を撃たれた。
 真正面から向かったので、一対一になるように秀吉がバスルームに入るまで待った。
 それに対し、今回の朱志香は背中に杭を刺されていた。
 これは2対1だから不意を突いたからだと推測する。
 嘉音の遺体を隠したのは、犯人のスケープゴートにするためであり、同時に幾つかのゲームを重ね合わせて見ることで紗音と嘉音が同一であると推理させるためでもある。

 後は、既に書いたが、嘉音のマスターキーと貴賓室の鍵を入れ替えることで、源次から嘘の証言を引き出させ、密室にすることで使用人を疑わせるように仕向けた。

 嘉音と朱志香の恋模様については見たままでいいと思う。
 紗音の恋を見た朱志香は、自分も恋がしたいと思い、身近な異性である嘉音を意識することに。
 紗音に取り持ってもらいながら仲を深めようとし、ついには思いの丈を告白することになる。
 だが嘉音はそれを断る。
 それは、嘉音は金蔵の目となって監視する汚い役目が課せられていて、潔癖な嘉音はそのことで自身を、汚い役目をこなさなくてはならない家具であると感じているからだ。
 しかし、朱志香の気持ちに応えられないことに忸怩たる思いを抱くことになる。

 この流れは十分想定できた。
 だからルーレット次第では準備段階でその目を揃える可能性はあった。
 そして、これらは過去のできごとなので、その結果を踏まえた惨劇が計画されることになったのだと思う。


●使用人室の嘉音の幻想

 食事の支度と、楼座が信用できない使用人と外様の南條を追い出しておきたいことから、使用人と南條が厨房にいることを想定。
 嘉音の格好をして、血糊で顔を隠し、救急箱がある使用人室へと急がせた。
 そしてそこで、近くにいる南條と熊沢を素早く殺害。
 使用人室を出て、生き残りが使用人室を去るのを待って使用人室に戻り、南條と熊沢の死体を中庭に運んだ。

 この際、事件の報告で、犯人の正体について説明し辛いことから、報告が長引くことを予測できたので、運び出す時間は十分だったのではないかと思う。


●第四~六の晩 夏妃の霊鏡

 本格的に楼座に疑われた使用人たちは追い出され、紗音と将来を誓った譲治も共にすることになった。
 これは紗音がプロポーズを受けていたためであり、ひいては紗音の決断を促した来客ベアトが現れたためである。

 そして紗音は譲治に、ベアトの言い成りとなって霊鏡を壊したから、ベアトが惨劇を起こしているのだと信じていることを告白、
 譲治はその紗音の心を軽くするため、ひいては自責の念から心を守るために、夏妃の霊鏡を手に入れることを提案。
 譲治は他人の信じているものを否定せずに、それに沿いながら説得することに長けている。
 逆を言えば、そう選択することを想定するのは簡単であるということでもある。
 だから、夏妃の部屋の中で待ち伏せることが可能だった。


●中庭の死体発見~客間の手紙

 これについてはすでに書いてある通り。
 職務に忠実な源次は、いつでも拝命できるように一人厨房に残り、決められた時間に屋敷の見回りをする。
 だから、中庭に死体を置けば自動的に発見し報告することになる。
 楼座たちは中庭に向かうため客間は空になり、その隙をついてベアトはマスターキーを使って手紙を置いた。

 楼座たちは中庭の死体の状態から、譲治たちの危機を悟り、譲治たちが向かった夏妃の部屋へ。
 ベアトは手紙を置いたらすぐさま夏妃の部屋へ先回り。
 使用済みのマスターキーを、夏妃の鍵だと錯覚させて楼座に回収させ、死体に注目している隙に密室を脱出。
 その際、源次は見て見ぬふり。真里亞は魔女の魔法と解釈。

 客間に戻った楼座たちは、密室だった客まで手紙を発見。
 互いが互いを疑う修羅場に。
 楼座視点、手紙を置いたのは戦人で確定。
 銃を撃つことに躊躇いはなかったことだろう。
 たぶん、真里亞がとりなしする直前の雷の音が、銃声だったのではないだろうか。
 戦人はこの時に亡くなったのだと思う。

 死んでいたので、その後は何も見ていない。
 なので、その後の戦人視点は幻想となる。
 書斎で蝶が乱舞していようが、山羊に食われようが、幻想なので当然のこと。

(後は爆発で全員死亡)


  1. 2014/02/02(日) 01:38:10|
  2. エピソード2
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エピソード2 前編

 第二のゲームは、マスターキー関連で使用人が容疑者に。
 これについては戦人が言うように、使用人には、使用人のみが犯行が可能であると示す状況は作るはずがない。普通なら。
 それで確定ではないが、一度疑いを使用人に振った以上、その反対の方で筋が通ったものができたら、そっちの方が真実である可能性は高くなる。
 そんなわけで使用人以外の犯行という線で推理する。


●朱志香の部屋の密室

出入りはこの扉からだけだ
扉の施錠は、朱志香の鍵が一本と使用人たちが一本ずつ持つマスターキーのみ
朱志香の死体発見時、朱志香の部屋にいたのは、戦人、譲治、真里亞、楼座、源次、郷田、紗音、熊沢、南條のみだった

 密室発見時、犯人は密室の中にはいなかった。
 犯人が密室の外にいる以上、外から鍵を掛けなければ密室は作れない。


 朱志香の鍵は楼座がサイドテーブルから発見した。
 なので、楼座が嘘を吐いていて、元々所持していた朱志香の鍵を、サイドテーブルにあったふりをしたという可能性がある。
 が、そのトリックではこの後の密室形成には関係なく、この後の事件で楼座にはアリバイが成立するので、使用人が共犯でなければならなくなる。
 楼座が犯人であれば、使用人も犯人であるとなる。
 よって、使用人は犯人ではないと見る方針を取っている以上、楼座犯人説は考慮する必要はない。
 楼座が犯人でないのなら、楼座が使って確かめた朱志香の鍵は本物となる。


 マスターキーは使用人が所持。
 使用人が犯人ではないのならば、使用人以外の人間がマスターキーを奪ったことになる。
 奪えるマスターキーは嘉音の所持していた物だけ。
 しかし、その「鍵」は朱志香のポケットから発見された。
 発見者は、南條。
 その鍵が本物だと証言したのは、源次。

 南條なら、鍵を朱志香のポケット取り出したふりをして、自身が持っていた鍵を取り出すことが可能。
 源次なら、異なる鍵をマスターキーだと嘘の証言が可能。
 そのどちらかなら、マスターキーを使って朱志香の部屋を密室に出来る。
 両者の違いは、朱志香の密室の後もマスターキーを所持しているかどうかだ。
 その後の密室も、マスターキーがなければ密室にはできないので、源次が嘘の証言をした方を選んでみよう。


 何故、源次は嘘を吐いたのか。
 源次は使用人。使用人である以上、源次は犯人ではない。
 犯人ではないので、自分以外の犯人のために嘘を吐いたということになる。
 つまり、犯人を庇ったのだ。

 源次は犯人ではない。なので、源次は共犯を庇ったのではない。
 共犯でないのなら、何故庇ったのか。
 それについては源次という駒の役割を見れば解る。
 源次は金蔵に忠実な使用人。自らを家具とまで称し、自分の意見を挟まない。
 主である金蔵のことなら庇うはずだ。

 だが、事件当時の金蔵にはアリバイがある。源次と紗音と共に書斎にいた。
 これが嘘だとすると、使用人と共犯になってしまうのでこの可能性は却下。

 そこで次の手掛かり。

『その人物は、非常に稀な賓客らしく、当主であるお館様と同格の扱いをするようにきつく厳命されておりました。』

 来客ベアトは金蔵と同格の扱いを受けるので、金蔵を庇うように、源次はベアトも庇うことだろう。
 だから、ベアトが犯人であると源次に示さば、後は勝手に庇ってくれる。

 嘉音のマスターキーの代わりとなった鍵。
 それがベアトが宿泊した部屋、貴賓室の鍵であったのなら、源次はその鍵をマスターキーに間違いないと偽らねばならない。
 本当のことを証言してしまえば、ベアトは犯人として糾弾されることになる。
 それは源次にとって絶対に避けねばならないことだろう。

 それを読んでいたベアトには、その密室トリックを仕掛けることが可能である。


●使用人室の密室

 密室の状況は、上に同じ。
 よって、手に入れたマスターキーがあれば可能。

 問題は誰が犯人なのか。
 客間にいた人物にはアリバイがある。
 使用人は方針的に除外。
 残るは、金蔵とベアト。

 とりあえず源次と郷田の証言を見よう。

『確かにその、…それは私たちの目の前で起こりました! 私の目の前にいた! だけれど、……あれはその、………何だったんだ…。私にもわからないんですッ!』
『…そ、そうです。勝手口に誰かがやって来たんです。そして、誰だろうと、私は扉を開けました…。』
『………そいつは、血塗れで、大怪我をしていました。…私たちは使用人室に運び、すぐに南條先生が手当てをしました。……その、とても深い傷でした。』

『…………初め、…私たちはその人物が、嘉音であると信じました。』
『はい。………その後に起こったことは、口では説明できません。……南條先生と熊沢を殺し、……そして姿を消しました。その時、彼は間違いなく嘉音ではありませんでした。』


 まとめると、
 犯人は厨房の勝手口に現れた。
 犯人は怪我をしていた(ように見えた)。
 犯人を使用人室に運び、南條が手当てをした。
 郷田の主観では深い傷だった。しかし、手当ては南條がしているので、どのくらいの傷かは南條にしか解らないはず。
 使用人たちは、犯人を最初、嘉音であると信じた。しかし、その後は嘉音ではないと考えている。
 ……こんな感じか。

 使用人が犯人ではない方針なので、証言はとりあえず信じることにする。
 最初に嘉音だと信じたのならば、犯人は嘉音の変装をしていたことになる。
 が、変装しただけで嘉音であると見間違えるはずがない。

 そこで犯人が怪我をしているふりをしていることに注目。
 その怪我は素人の郷田に深い傷だったと思わせるほどのもの。
 単純に考えれば、出血が激しかったということだろう。
 その出血により、顔が隠されていたとなれば、顔を目撃できないのではないだろうか。

 犯人は血糊、あるいは嘉音の死体から血を絞り出し、それを頭から被った。
 頭や顔は血塗れで、手で傷を押さえたふりをすれば、とっさには嘉音だと思わせることはできるだろう。
 医者の南條がいるので、緊急に手当てしなければならないと判断したであろうことから、真偽など棚上げにしてまずは手当てとなるはず。
 そして使用人室に着いて、南條が手当てを始める。
 この時、経験豊富で世話焼きの熊沢がサポートするのが自然だろう。
 なので、ターゲットを南條と熊沢と想定して殺人に及ぶことが可能。
 近付いた2人をすぐさま殺害し、あっけに取られた他の使用人を残して部屋を出る。
 残りの使用人が客間に報告することを予測し、近くの部屋に隠れ、使用人が去った後に使用人室に戻り、2人の死体を運び出し、密室にした。

 そんなところだろうか。
 結論としては、使用人たちは嘉音なのかそうでないのか判断する前に緊急事態だからとそれに対応した、というところ。
 犯人の顔は目撃していないし、最終的に嘉音だと信じたわけでもない。
 エピソード4を先取りしてしまうが、誰も嘉音を見間違えていない、と言えるだろう。
 ただ、考える時間を与えなかっただけ。

 とりあえず犯人はベアトだと考える。
 嘉音は華奢なので、女であるベアトでも体型は誤魔化せるはず。


●夏妃の部屋の密室

扉も窓も内側から施錠されていた
如何なるイカサマも細工もなく、そして隠された通行手段もなければ隠れる場所もないッ
夏妃自身の鍵は譲治のポケットに入って、室内に閉じ込められていた
あとは5本のマスターキーしかないが、それは全て“楼座”が持っているッ

 扉が内側から施錠されていると明記されているので、犯人は密室の内側にいるのは確定。
 問題は隠れる場所がないこと。
 犯人が隠れていなかった以上、戦人が犯人を目撃しなかったのは戦人が犯人がいる方を見なかったからだ、ということになる。
 つまり、一つの所に注目を集めさせることで、それ以外には目を向けないように仕向けたということ。

 行方を捜していた3人の死体を、扉を開けて直ぐに確認できる場所に置くことで、それ以外のところを死角にした。
 さらに、紗音をうつ伏せにすることで、頭を抉りて殺せの見立てを確認させた。
 杭はそばに落ちているので、紗音は死んだふりが可能だから、その死を確かめさせた。
 確かめるためには紗音の死体に近付かなくてはならない。
 部屋の一番奥にある紗音の死体に。

 部屋の鍵を開けたのは戦人。
 楼座は鍵を開けることで、隙を作るのを避けたかった。
 なぜなら、誰も信じていないから。
 だから戦人に鍵を開けさせた。
 源次ではこれまでのマスターキーのことで、鍵を渡すのは憚られたのだろう。
 なので、戦人が扉を開けるのは必然と言っていい。

 扉を開けた戦人がまず最初に動くことができる。
 つまり、紗音の死体を確かめることになる。
 そして、その行動を見た楼座は、死体に細工されないよう、戦人を制止するために戦人に近付くことになる。

 だから、犯人が扉の影にでも隠れていれば、そのまま扉から脱出できるだろう。
 その脱出を目撃するのは、真里亞と源次だけ。
 真里亞は、ベアトが戦人や楼座に見えるはずもないと信じている。
 源次は、ベアトを庇うため、それを戦人と楼座には報告しない。
 真里亞に喋らないようにジェスチャーでもすれば、誰も何も言わない。

 その後、楼座は譲治のポケットから鍵を回収。
 楼座の認識では、管理している鍵は、夏妃の鍵、朱志香の鍵、マスターキー×5であることだろう。
 しかし赤き真実を考慮すると実際は、朱志香の鍵、貴賓室の鍵、マスターキー×5である。
 つまり、譲治から回収した鍵は、夏妃の鍵ではなくマスターキーということだ。

 確かに夏妃の鍵は譲治のポケットに入っていたことだろう。
 しかし、楼座が譲治のポケットから回収した鍵が、夏妃の鍵であることは確定していない。
 夏妃の鍵は探り難いポケットに入っていて、マスターキーは探り易いポケットに入っていたなら説明が付く。
 譲治の死体の体勢は、壁に寄りかかるというもの。
 尻のポケットは探られ難く、後回しにされるだろう。
 だから、探られ易い体の表側のポケットにマスターキーを入れておけば、楼座はその鍵が夏妃の鍵であるという幻想を信じてくれる。
 なので、それ以上は探らない。本物の鍵を見つけられない。


●客間の密室

 客間に置かれた手紙。
 戦人から見れば楼座が置いたように見え、楼座が見れば戦人が置いたように見える。
 これはつまり、この手紙によって戦人と楼座が争うことになるように置かれたということ。
 チェス盤を引っ繰り返せば、戦人や楼座、ついでに真里亞以外の人間が置いたことになる。

本来の客間の鍵は使用人室に封印されている
だからマスターキー以外では開錠不能! 部屋の密室定義もいつもに同じよ!

 ここではマスターキー以外考えなくてもいいので楽だ。
 戦人、楼座、真里亞を抜かせば、マスターキーを使わなくてはならない。
 だとすれば、マスターキーを入手できた来客ベアトが手紙を置いたことになる。

 戦人たちが客間を後にしたのは、源次が南條と熊沢の死体を発見したから。
 それはつまり、戦人たちを客間から出すために、南條と熊沢の死体が中庭に置かれたということ。
 源次の駒の役割は、職務に忠実。
 よって、源次がその時間に屋敷を見回ることは想定できた。

 戦人たちは客間から中庭に向かい、南條と熊沢が第七と第八の晩であることから、その前の第四~六の晩が譲治たちではないかと考え、源次に聞いた譲治たちが向かった先に向かうことに。
 チェス盤を引っ繰り返せば、夏妃の部屋に向かわせるために、南條と熊沢を第七と第八の晩に当て嵌めたということになる。

 よって戦人たちは客間から中庭へ、その中庭から夏妃の部屋へと移動することになる。
 犯人である来客ベアトは、客間の近くの部屋に隠れ、戦人たちが客間を出たことを確認して、客間に手紙を置き、戦人たちが中庭にいる間に、夏妃の部屋へと先回りした。
 まあつまりは、そういう計画だったということ。


  1. 2014/02/01(土) 23:32:09|
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プロフィール

フラット・ホームズ

Author:フラット・ホームズ
「うみねこのなく頃に」の某公式サイトで推理を投稿していた。
その時使っていた名前は察してください。
スタイルは、アンチミステリーをチェス盤で引っ繰り返す、というもの。
キコニアでは、世界を箱庭に見立て、そこにどんな駒を置いたのか、それらを動かして最終的にどういう形に持って行くのか、的な感じのを主にやっている。

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