FC2ブログ

うみねこのなく頃に 考察 境界より視やる

PCゲーム「うみねこのなく頃に」の個人的な考察ブログ。「キコニアのなく頃に」についてもガッツリやっている。


「黄金の魔法」の補足

 「黄金の魔法」については今回でおしまい。
 今回は、「黄金の真実」について私が抱いている諸々のことをちょびっと紹介してみようと思う。
 「黄金の真実」での事件のトリックについては、同一説でさんざん他の方が推理していると思うので省略。



●箱の中にいるのは重なり合った猫

 「黄金の真実」は、過程を修飾する魔法の一種。
 ゲームマスターは、「本当の真実」の上に過程(ロジック)を修飾(構築)しなければならない。
 ロジックを構築できなければ、アンチミステリーとならずロジックエラー。
 アンチミステリーのロジックは修飾されたものであるために、ロジックの変更は比較的容易である。
 ちなみに「本当の真実」は変更不可。

 「本当の真実」と「黄金の真実」の関係は一枚のカードの表と裏。
 片目だけで見る場合、片方を見れば、もう片方は見ることはできない。
 それは恋の決闘を見ての通り。
 だがどちらも真実の一面でしかなく、両目で見て両方を知ることでやっと全体を把握できる。

 そんな感じで、真実というものは相補性を持っているのではないかと思う。


 とは言え、核の部分は「本当の真実」なので、「本当の真実」における犯人の動きには、「黄金の真実」を修飾しようとする無駄な動きが混じってしまっていることだろう。
 その無駄な部分が、ベアトの遊びでの部分であり、隙であるとも言える。



●タネも仕掛けもあるんだよ

 アンチファンタジーvsファンタジーに注目させ、影でミステリーvsアンチミステリーにタネを仕込む。
 ――ミスディレクション

 「黄金の真実」を選ばせるために、それ以外を赤き真実で切り捨てることで、読者が自ら選び取る形にさせる。
 ――マジシャンズセレクト

 過去の真実は、未来に出される真実で覆される可能性がある。それを転じて、未来で出された真実こそが正しいという先入観を与え、過去に遡って都合のいい情報のみを取り出させて補強させる。
 ――確証バイアス

 主なのはこんなところか。
 まだ他にもあるかもしれないので探すと面白いかもしれない。
 ……というか、そういうのを聞いてみたい。



●いわゆるライバル探偵ポジが陥るもの

 黄金の魔法とは、つまるところミステリーで言うところの、探偵の推理を組み込んだトリックである。

 探偵が推理し、推理された犯人がいる。
 その上に、それらを想定した上位の犯人がいた。
 そんなメタ構造のトリック。

 下位世界で戦人が推理している。
 その上位世界でゲーム盤を挟んで戦人が推理している。
 その上位でメッセージボトルを見た読者が推理をしている。

 そのメタ構造そのものが、このトリックを暗に示していたと言える。
 そして、メタ構造を利用した探偵、古戸ヱリカという駒もまたヒントだったのだろう。


●思うところ

 普通の推理小説ならライバル探偵と主人公探偵の推理が並び立っても、ライバル探偵の推理が間違っている証拠が出てくるところなのに、「うみねこ」では出てこずに並び立ってしまう。
 それにもかかわらず、どっちかを選べと迫るという無茶振り。
 お陰でハウダニットやフーダニットよりもホワイダニットが重要に。
 解る者には解る、解らない者には解らない。というのは、だいたいこの魔法のせいなのではなかろうか。

 私は、これはベアトの怒りの発露なのだと思っている。
 第3のゲームであった「怒りと悲しみの物語」の、怒りの部分。
 悲しみが謎を解いてくれないことに対してのものであるなら、怒りは謎が解けない者に対してではないか。
 感情によるところであるがために、ある意味ベアトの動機が最も顕著に出ていると思う。


 それにしても、ミスリードなんてだいたいはその場しのぎでしかないと思うのだが、それがひとつの物語になっているのには驚愕するしかない。
 黄金の魔法が紡がれていくところは、ある意味、真相が暴かれていくのを描くよりも良かったかもしれない、と個人的には思う。うみねこっぽさが出ていて。


スポンサーサイト



  1. 2013/12/28(土) 20:16:00|
  2. 黄金の魔法
  3. | trackback 0
  4. | comment 0

黄金の魔法の実現

 続いて「黄金の真実」の生み出し方でも。



 第6のゲームにおいて行われた恋の決闘。
 これについての解釈は、紗音・嘉音・ベアトが同一であるということで、大方一致しているのではないかと思う。

 となると、それ故に、その解釈は『黄金の真実』であると言える。
 さらに、並び立つ真実として、もうひとつ解釈が成り立たなければならない。
 それがアンチミステリーの読み解き方になる。


 では、恋の決闘とは何を表しているのかいえば、今回のタイトルそのものずばり、黄金の魔法が成就する過程である。

 嘉音と紗音が父親について言及していた。
 さて「親」の定義だが、作中では実の親以外にも、「駒」の生みの親という意味で使われている。
 それも恋の決闘と同様に、第6のゲームで。

 この2つの方向性の内、実の親の方は「同一説」の方に繋がるので、もう一方の「駒」の親へ進む。
 そうなると紗音と嘉音は「親」に生み出された「駒」ということになる。
 無論ベアトリーチェも同様だろう。

 その「駒」たちが生み出された目的はと言えば、愛し愛されるためで間違いないだろう。
 ベアトリーチェという「駒」は、戦人に愛し愛されるために生み出されたのだと明言されているのだから。

 では愛されるとは何か。
 考えるまでもなく「愛がなければ視えない」のことだろう。
 さらには第5のゲームで、「推理小説の読者と作者の関係は恋愛に似ている」とも。

 推理することで視えてくる「駒」。
 それは即ち、「犯人」のことだ。


 つまり、恋の決闘における紗音・嘉音・ベアトは「犯人」であり、「犯人」として愛し愛されることを争っていたことになる。

 紗音が「犯人」という真実。
 嘉音が「犯人」という真実。
 ベアトが「犯人」だという真実。

 まだ「同一説」という『黄金の真実』が生まれる前、紗音が犯人でも嘉音が犯人でも説明可能で、どちらの可能性も同時に存在した。
 そして、ベアト即ち「真犯人」が犯人である可能性もまた……

 だが異なる「犯人」を同時に愛することはできない。
 同時に愛せば、それは一人分の「愛」に満たない。
 それでは一人分の「魂」に満たない「家具」でしかない。
 推理どおりに殺人を犯してみせ、破綻すれば打ち捨てられるだけの「駒」。
 だから一人分の「魂」を得るためにあの決闘をしなければならなかった。

 そして、ミステリーを志向する読者は、愛する「犯人」を一人に絞らなければならない。
 愛し合う2人で「世界」を生み出すために。



 ……さて、それでは以上を前提に黄金の魔法が実現する経緯を説明しよう。

 「犯人」は3人。それらを愛する「読者」も3人。

 紗音を犯人だと考える自分。
 嘉音を犯人だと考える自分。
 ベアトを犯人だと考える自分。

 その内、ベアトを犯人だと考える自分は不在である。
 故に決闘を行うのは紗音と嘉音の2人となる。
 あとは、自分が考える「犯人」を信じるだけ。

 そして、ロジックエラーの密室において、嘉音の可能性が否定され、「同一説」によって残った紗音が「犯人」として残った。 

 「幻想」は「真実」に昇華され、黄金の魔法は成就した。
 あとはこの「種」に水をやり、肥料をやり、決して倒れることのない大樹にまで育てれば良いのだが、それはまた別のお話……


  1. 2013/12/22(日) 01:14:54|
  2. 黄金の魔法
  3. | trackback 0
  4. | comment 0

3つの物語

 前回の「ゲームの勝利条件」の「続きを読む」の続き。
 『黄金の真実』についての根拠を一つあげてみようと思う。



 第八のゲームにおいて最後に出された問い。

【魔女は、そっと左手を差し出し、
(なんやかんやあって)
魔女はゆっくりと、その右手の拳を開く】

 手には何も握られていなかったのに、次に握られていた手を開いた時には無かったはずのものが出てきた。
 これは『魔法』なのか『手品』なのか?


 ミステリーvsファンタジーで見るならば、

 魔法は人間には不可能なこと。
 記述そのままでは人間に可能な以上、紫発言は嘘であることになる。
 
 手品は人間には可能なこと。
 記述そのままで人間には可能なので、紫発言は真実である。

 ……という感じになるだろう。


 だがそれでは不十分だ。
 『魔法』か『手品』かを問われたことで、猫箱に入っている真実が2つしかないと思い込んでしまっている。
 選択肢よりも、まずは問いを見るべきだろう。

 注目するのは紫発言だ。
 あれは、真である可能性と嘘である可能性の両方が重なり合った猫箱だ。
 一箇所につき二通りの真実を生み出す。
 故に要点は、紫発言が何箇所使われたのか、だ。

 紫発言は二箇所で使われている。
 よって、 二通り × 二通り で、合計四通りの真実が生まれていることになる。

①、左手(真) → 右手(真)
②、左手(真) → 左手(嘘)
③、右手(嘘) → 右手(真)
④、右手(嘘) → 左手(嘘)

 この内、②の真・嘘と③の嘘・真の2つは、人間には不可能=ファンタジーでひとつにまとめられる。

 残りの2つ、①の真・真と④の嘘・嘘が、人間に可能なトリック、並び立つ真実となる。

 そのようなわけでこの問いは、実質三択。
 つまるところ、これこそがベアトの作り出した3つの物語というわけだ。


 あとはどれが本当の真実なのかだが、①の真・真に誘導しようとする意図が丸見えなので、④の嘘・嘘が、本当の真実であると判断できる。

 さらには、問いに記述されている、右手左手は『黄金の真実』であり、それを信じさせるための黄金の魔法なので、答えは『魔法』であるということになる。

 ちなみに黄金の『魔法』を選んだ以上、その後の展開は『黄金の真実』に塗れているが、それについてはまた追々。


  1. 2013/12/21(土) 20:48:45|
  2. 黄金の魔法
  3. | trackback 0
  4. | comment 0

ゲームの勝利条件

 そもそも戦人は最初ミステリーで事件を解くつもりだった。
 犯人は人間であり、答えはひとつであると。
 でもそれが何だか解らないから、とりあえず色々と可能性をあげてみることから始めようといった感じだったと思う。

 だが、そこにベアトが現れてファンタジーであると主張した。
 それによって、戦人をファンタジーの反対、アンチファンタジーの立場にまで引き釣り出した。

 ファンタジーの立場は、犯人は人間ではないというもの。故にアンチファンタジーとは極論すれば、犯人が人間であれば答えは何でも構わないというものになる。
 人間説の答えがない(ファンタジー)も、答えはなんでもいい(アンチファンタジー)も、答えはひとつ(ミステリー)でない以上、どちらもミステリーではない(アンチミステリー)。
 ミステリーの立場からすれば、アンチファンタジーの立場に移行した時点で負けである。
 そのためにベアトはあえてファンタジーの立場を取ったのだろう。

 そのようなわけで、ミステリーの立場から真実を見つけ出すことが戦人の真の勝利条件であるのは間違いないと思われる。



 さて、戦人の勝利条件も解ったので、あとはミステリーの立場から魔法(ファンタジー)を暴けば解決となる。


































(その解決に不足を感じるのなら、続きを読むをクリック。) 続きを読む
  1. 2013/12/15(日) 23:36:10|
  2. 黄金の魔法
  3. | trackback 0
  4. | comment 0

NEW ENTRY | BLOG TOP |  OLD ENTRY

プロフィール

フラット・ホームズ

Author:フラット・ホームズ
「うみねこのなく頃に」の某公式サイトで推理を投稿していた。
その時使っていた名前は察してください。
スタイルは、アンチミステリーをチェス盤で引っ繰り返す、というもの。
キコニアでは、世界を箱庭に見立て、そこにどんな駒を置いたのか、それらを動かして最終的にどういう形に持って行くのか、的な感じのを主にやっている。

現在時刻

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

咲 (3)

来訪者数

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

QRコード

QR

Designed by U-BOX