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うみねこのなく頃に 考察 境界より視やる

PCゲーム「うみねこのなく頃に」の個人的な考察ブログ。「キコニアのなく頃に」についてもガッツリやっている。


エピソード7 補足

●理御のいるカケラとベアトのいるカケラの相違点について

 私の見解では、ベアトのいるカケラは、金蔵がベアトの依り代を作ったカケラだ。
 ベアトの依り代がベアト足るに必要なものは全て用意され与えられている。
 逆を言えば、ベアトの依り代がいなければ、それらの用意も必要ないということ。

 理御のいるカケラではベアトの依り代がいないので、ベアトの依り代が行う碑文に見立てた殺人事件は起こらない。
 よって、碑文を設置する必要がない。

 さらに、ベアトの依り代が纏う魔女の怪談も、纏うベアトの依り代がいない。
 よって、黄金を与えてくれたとされるベアトリーチェを、金蔵が魔女であると語る必要もない。

 ベアトの依り代による殺人事件がないのであれば、それを覆い隠すために生み出される黄金の真実もまた存在しないことになる。
 つまり、犯人はヤスとするために必要な紗音という駒を用意する意味はない。
 
 黄金の魔女がいないのだから、黄金の魔法を生み出すメッセージボトルを書く者がいない。
 そうなると嘉音の名前のトリックが使用できないことになる。
 よって、嘉音という駒も必要ない。

 これら全てが理御のいるカケラにはないのは当然と言えるだろう。



●黄金の魔女と恋の芽

 魂の分割は無限の魔法だけによるものではない。
 黄金の魔法もまた、ある種の魂を分割する魔法と言える。
 恋の決闘の愛し愛される関係からすれば、こちらの方が本義
 無限の魔法が別の可能性の自分であるならば、黄金の魔法は自分とは異なる設定の分身と言える。
 分身の例としては、ある時は黄金の蝶になって空中を散歩したり、ヱリカとなって真実をでっち上げたりなどが挙げられる。

 他者にどう信じさせたいのか。
 本当の自分の姿なのか。それとも幻想を装った自分の姿なのか。
 どちらも信じさせたいのなら、それは自身の魂を分けた分身を生み出したようなものだろう。

『我は我にして我らなり。目覚めなさい、我らたち。そして新たな世界に羽ばたきなさい……。』

 推理するということは、犯人を思い描くということ。
 推理する者の数だけ、犯人は生まれる。
 犯人という駒は目覚め、そして推理した者の世界に羽ばたいていく。

 本来の自分(真犯人)とは異なる自分(犯人)を生み出し、その異なる自分を信じさせるのが黄金の魔女。
 異なる自分を信じさせたいのであれば、その異なる自分(犯人)の動機も用意しなくてはならないだろう。

 種も仕掛けもなくては手品は行えない。
 そのための動機という事件の原因となる種が必要だった。

 ちなみに、EP6の戦人に恋する気持ちをベアトに引き継がせたのと今回のは意味合いが異なると解釈している。
 EP6のは恋愛=推理の喩えで、EP7のは文字通りの恋愛のこと。
 「うみねこ」において『恋愛』という言葉は、2つの意味を持たせたダブルミーニング。
 それが魔法の「仕掛け」。


 幼い紗音が抱いてその末に諦めた恋。
 戦人への恋心。
 それを種として黄金の真実を作るために、その恋心を黄金の魔女に引き継がせた。

『世界を、変更。……恋の芽を、紗音からベアトリーチェに。』

 ベアトを演じる者が設定したベアトリーチェは、恋を知らなかった。
 でもこの設定変更で、恋を知ることに。

 ベアトを演じる者は、自身の本当の姿を理解してもらうために、戦人に謎を出したい。
 だから、姿を現すことができない自分の代わりにベアトリーチェに謎を出してもらう。
 その表向きのために、表向きの動機が必要だった。
 そして、それを得た。
 ベアトは恋心を知ってもらうために、戦人に謎を出しているという設定を。


 まとめてみよう。
 謎を出題する、という「結果」を作りたいとする。
 だが自分はできないから、分身を作り代わりに行ってもらうことにした。
 「自分」が行うという「過程」の上に、「分身」が行うという「過程」を修飾。
 しかし、「過程」を修飾すれば「原因」たる「動機」まで修飾しなければならない。
 そこで「推理」を「恋愛」に喩えることで、「恋愛」という言葉に二重の意味を持たせることにした。
 そして、「恋愛」という「動機」から謎を出題するという「結果」に至る「過程」を修飾することに。
 「恋愛」という「動機」を欲していたところ、紗音が戦人に恋をし後に諦めたという出来事が起きた。
 そこでそれを流用し、「分身」の「動機」を設定した。

 過去に紗音が戦人に恋をしていたという事実を『種』として仕込み、
 「恋愛」に二重の意味を持たせた『仕掛け』を施し、
 「犯人はヤス」という『魔法』を掛けた。

(ちなみに、恋心は紗音から預かっているだけで、紗音が取り戻したい時には紗音に返すことになる。
 それは「紗音は未練がない」という「現実」があるからこそ「紗音は未練がある」というのが「幻想」になる訳で、現実に「紗音は未練がある」状態に戻ったら「幻想」が「幻想」ではなくなってしまうから。
 ルーレットによってその目が出た場合は、潔くこの「幻想」を諦め、別の幻想を作り出すことになったことだろう。)


 紗音が過去に戦人に恋していたから犯人である、というのは幻想であると私は考える。
 夏妃が過去に蔵臼への恨み言を書いていたから犯人である、というのと同じ構図。
 ヱリカが自身の主張を信じさせるために夏妃の日記を持ち出してきたようなもの。
 対案を示さなければ、そのまま真実と成ってしまう。
 それを防ぎたければ、対案を示し、並び立つ真実の真贋を問わなければ成らない。



●碑文と黄金の魔女の復活

 ベアトを演じている者が謎を作る準備が整ったのを見て取った金蔵は、謎のお題として碑文を設置した。
 ベアトリーチェが復活するために殺人儀式を行う。それを謎としろと。

 黄金の魔女ベアトリーチェは、恋心を知ってもらうために事件を起こす。
 ベアトを演じる者は、自身の姿を知ってもらうために事件を起こす。
 表裏をすり合わせ、ゲーム盤を作ることに。

 この時、黄金の魔女は復活した。
 推理者の世界に飛び立つ前に、ベアトを演じる者の世界の中で。
 1986年に復活する魔女は、読者の世界でのことになる。


『魔女は賢者を讃え、四つの宝を授けるだろう。』

『一つは、黄金郷の全ての黄金。』
 黄金の魔女の作り出した黄金の真実の全て。

『一つは、全ての死者の魂を蘇らせ。』
 全ての死者の本来の姿を心の中に蘇らせ。

『一つは、失われた愛すらも蘇らせる。』
 愛がないから視えない。愛が蘇れば視える。

『一つは、魔女を永遠の眠りにつかせよう。』
 答えを得たなら、謎を出す魔女の出番は終わり。

『安らかに眠れ、我が最愛の魔女ベアトリーチェ。』


 その結末をベアトを演じる者が望むが故に、黄金の魔女は復活する。
 金蔵が用意した運命に従い、金蔵が望む魔女が依り代の中で復活したのだ。


『……この碑文は、……………右代宮金蔵と呂ノ上源次の、二人にしかわからぬ、ある意味を持っていたのです。だから、これは運命なんかじゃない。……私は、カボチャの馬車からガラスの靴まで、全てを準備されたシンデレラに過ぎない。』

 金蔵が望んでいたのは、碑文の儀式によってベアトリーチェが復活すること。
 そして、忠臣である源次も、さらに奥の真意には気付いていなくても、碑文の儀式のことは承知していた。
 ベアトリーチェの依り代に、碑文の儀式を実行させようとしていることを。
 だからこれはベアトを演じる者の掴み取った運命じゃない。
 ベアトリーチェとして碑文の儀式を行わせるために、全ての準備を用意させ、それを演じさせられただけに過ぎない。

『……もし、ベアトリーチェが復活せずにいたならば。』
『……同じ1986年を迎えても、……事件はまったく違っていたかも知れねェ。』


 黄金の魔女が復活しなくても別の事件は起こり、猫箱に閉ざされる。
 それが金蔵が用意した無限の運命なのだから。

『結局、……私は生まれたその時から、運命の岐路においてはただの一度も。……私の意志では何の選択の権利も、与えられなかったのです。』
『あぁ、我こそは我にして我等なり。
 なれど我等、運命に抗えたるためしはただの一度もなし。
 我等など所詮は渦に舞う木の葉も同じ。
 どのように舞おうとも、渦に飲み込まれて消えるのみ……。』


 金蔵が用意した運命の中、どのような選択をしても金蔵の掌の内。選択させられたのだ。
 抗えぬ運命の渦の中をどのように舞おうとも、渦に飲み込まれて消えるのみ。

 被害者はベアトの掌から抜け出ることは出来ずに弄ばれる。
 だが犯人たるベアトもまた、さらに上位の存在である金蔵の掌から抜け出せることは出来ず弄ばれているのだ。



●決闘と1986年

『………あと1年、早ければ。……あるいは、遅ければ。』
『決闘の勝敗は、違う形ではあっても、ついただろうな。』


『……時間さえ、与えられれば。
 あるいはむしろ逆で、悩む時間さえ与えられなかったなら。』


 恋の決闘。
 EP6のは読者の心の中で行われ、EP7でのは作者の心の中で行われた。

 黄金の真実を暴き本当の真実を知って欲しいという願い。
 本当の真実を滅ぼし黄金の真実を信じて欲しいという願い。
 それは悲しみと怒りの決闘だ。
 1986年の時点、どちらの望みも拮抗していたから、その決着を運命に委ねたのだろう。
 もしも時期が違っていたら、本当の真実をカケラも残さずに滅ぼしつくし黄金の真実が真実であると明確に示される物語になっていたかもしれない。
 あるいは、黄金の真実が幻想であると暴かれ、本当の真実を滅ぼすことなく終わる物語だった可能性などもあったかもしれない。

『私は、私たちは、……自分たちの運命さえ決められなくて。全てを運命に託したのです。
 誰かが、報われるかもしれない。
 あるいは全員が結ばれて、開放されるかもしれない。
 さもなくば誰かがこの愚行を、止めてくれるかもしれない。』


 推理するということは、犯人を思い描くということ。
 推理する者の数だけ、犯人は生まれる。
 犯人という駒は目覚め、そして推理した者の世界に羽ばたいていく。

 そうすることで、羽ばたいた誰かは報われる。
 あるいは全員が結ばれて、開放されるかもしれない。

 1986年の事件は、全てを読者というルーレットに委ねた物語だと言えるだろう。


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  1. 2014/05/24(土) 22:12:09|
  2. エピソード7
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エピソード7 後編

 第7のゲームの事件。
 犯人は留弗夫と霧江。

 しかし、第7のゲームも当然ベアトの想定の内である以上、それは想定されていたこと。
 殺し合わせるために、銃を四丁用意したのだ。

 親族会議で争う時、絵羽と夏妃が最も激しく争うのは、これまでのゲームで共通すること。
 その時、絵羽のみ銃を持っていれば、何かの弾みでその銃の引き金が引かれ夏妃が死ぬ可能性が高い。

 一人が死ねばもう戻ることはできない。
 爆弾で証拠隠滅できる以上、目撃者も殺害するのが最善手。
 逆に目撃者からすれば、身を守るために自分以外を殺害するのが最善手。
 どうあがいても殺し合いが起こるなら、問答無用で真っ先に決断しなければならない。
 それを冷酷に計算して真っ先に決断するのは霧江だと想定するのは簡単だ。

 夏妃が殺され夫である蔵臼が激昂するのは至極当然。
 絵羽を守るため夫である秀吉がそれを押し止めようとするのも当然。
 そして組み合う時、弾みで引き金が引かれ一人が死ぬ可能性は高い。
 死ななくとも、絵羽の銃と蔵臼の銃が使われて次弾を装填する前に、装填されたままの銃を唯一持っている楼座を殺せば、霧江たちの勝ち。

 霧江は夫の銃を拝借し、まず楼座を撃つ。
 次に手強いであろう残った男(ゲームでは秀吉)の方を撃つ。
 三発目で絵羽を撃ち、四発目でベアトを撃つ。

 この時、三発目は絵羽を外している。
 霧江の持つ銃とは異なるが、この後留弗夫が使った楼座の銃は、照準が狂っていた。
 ならば霧江の銃も照準が狂っていたのではないだろうか。
 それがベアトの意図したものではないか。

 全てを想定し織り込んで意図したのならば、銃弾が絵羽を外したことは必然だ。
 いや、外さなかった可能性も想定済みだろう。
 その場合はまた別のゲーム盤になるはずだ。

 このゲーム盤では絵羽は死ななかった。
 ならば、その照準が狂った銃で撃たれたベアトは、銃弾を食らわなかったと考えられる。
 撃たれたふりは、口から血糊を溢せば足りる。
 血糊を含んでいたから、ベアトは喋らなかった。
 そして、絵羽が目覚めた時、他の屍については描かれたが、ベアトについては言及されていない。
 これはベアトが死んでいないという可能性があるということ。

 いや、ベアトという役はベアトを演じていた者に殺された。
 生き伸びられる可能性があるのは、ベアトという駒を生み出した母親だけ。

 第6のゲームまでで、偽書を書いた八城は、メッセージボトルを書いたベアトと同一だと推理できる。
 よって、ベアトを殺し生き残った母親はその後、八城になったのだと判断できる。

 このゲームは例えるならルーレットのゼロ。
 ベアトが事件を起こす他の全てのゲームに賭けられたコインを総取りし、六軒島を出てコインという名のメッセージボトルを世に流す権利を得ることができるのだから。


 ちなみに銃の照準のことだが、留弗夫が使った銃は下に外れていた。
 しかし、霧江の銃は絵羽の頭の横に外していた。
 このことから特定の銃を取らせないとならないことになる。

 銃は右代宮家の序列に従い、上位から順に手に取ることだろう。
 それも手に取りやすい手前から順番に。
 それによって、誰にどの銃を手に取らせるかを操作可能。

 手前から2番目、絵羽が手に取った、次弾が装填できない銃。
 故に、絵羽を射殺する時、確実に狙いを定めて撃つことができた。

 手前から3番目、留弗夫が手に取り、霧江が使うことになる横に逸れる銃。
 絵羽を確実に殺すため、狙いを頭に定めた故に、確実に外すことになった。

 手前から4番目、楼座が手に取った黄金の部屋で唯一使われなかった、下に逸れる銃。
 装填の手間を省くために、留弗夫は楼座の銃を使うことに。

 一番手前にあった蔵臼の銃は、後に絵羽が使うために照準は正確。

 そのように調節すれば、想定通りになるのではないかと考える。

 留弗夫vs絵羽は照準の差で絵羽が生き残り、留弗夫が殺されたことで霧江の生きる意味がなくなり、霧江vs絵羽は絵羽が生き残った。
 それらも想定通り。





 第7のゲームに分岐するフラグだが、ひとつは金蔵の死。
 蔵臼がそれについてそれに反論せず認めていることから、今回のゲーム盤では蔵臼が金蔵の死を隠していたと思われる。
 隠した理由については第5のゲーム(の金蔵死亡幻想)で説明された通り。
 ただし、第7のゲーム以外では、金蔵が死んでも蔵臼たちがそれを隠していないと考えている。
 ベアト以外の誰にも知らせないように源次に命じていたのだろう。
 よって、蔵臼たちに金蔵の死を知らせるための分岐フラグが必要となる。

 それは、他の兄弟が金蔵の死を疑い問い詰めること。
 第4、第5のゲームで金蔵の死を疑ったが、それらのゲームでは金蔵は生きている(と推理した)。
 他の金蔵が死んだのは第3のゲームだけ(と推理している)。
 だが第3のゲームでは、他の兄弟は金蔵の死を疑っていなかった。
 第7のゲームのみ、事前の金蔵の死亡、他の兄弟が金蔵の死を疑うことが両方起きたのではないか。


 整理してみよう。

 まず、親族会議の日よりも早く他の兄弟が金蔵が死んでいるのではなかと疑い、それについて探ることになる。
 これは第5のゲームと同じ。

 そして、19年前の男として夏妃に電話する前に、金蔵が死亡。
 金蔵が生存している第5のゲームから分岐して、蔵臼夫妻に金蔵の死を教えるようにベアトが源次に命令。
 第5のゲームの金蔵死亡幻想同様、蔵臼たちは金蔵の死を隠すことに。

 親族会議の日。
 第5のゲーム同様、早い段階で金蔵の死を問い詰め交渉。
 交渉内容は第4のゲームと同様。
 第4のゲームでは金蔵は生きているので提案を呑まずに引き伸ばしたが、このゲームでは金蔵が死亡しているので提案を呑まざるを得なかったと思われる。
 これで遺産分配及び蔵臼が他の兄弟に払う金について、合意が成立。

 ベアトの手紙は第3のゲームに準じ、食堂にいる子供たちをゲストハウスに戻したことで、夏妃も深夜の親族会議に参加。 
 金蔵が死んでいるという認識を共有していることから、ベアトの手紙が金蔵の介入ではないことが解る。
 よって、ベアトの手紙については早々に放置が決定。
 そして有り余った時間を碑文を解くことに費やされることに。

 他に何か考えねばならないことがないので、思考を全て碑文を解くことに費やすことができたのも大きい。
 蔵臼が何としても黄金を見つけたい状況に追い込まれているのもあるだろう。
 ベアトは碑文の謎を解く可能性が高いと想定していた。
 碑文の謎を解かなかった場合は、他のゲームに移行。


 そんな感じだったのではないかと思う。


  1. 2014/03/09(日) 01:12:25|
  2. エピソード7
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エピソード7 前編

 第7のゲームの前半部分、ヤスを表としてその裏を既にやったのでその辺は省略。
 ヤスが碑文を解いて当主になり~辺りはやってなかったと思うので、そこから始めようと思う。


 ヤスが碑文を解いて黄金を見つけたが、18人目のXが密かに六軒島に住まうには九羽鳥庵を使うしかない。
 幼い紗音を観察するために18人目のXは、九羽鳥庵と右代宮家の敷地を繋ぐ通路を使っていなくてはならない。
 ヤスは知らなかったが、18人目のXは知っていた。
 その矛盾の辻褄合わせが、ヤスが碑文を解いたという描写であると考える。
 黄金を所有し、秘密の通路を知り、碑文の謎の答えを知り、源次に対する命令権を持ち、金蔵の協力を得られた、その結果に至る過程の修飾。





 続いて、ウィルとクレルの問答について。

 ウィルがベアトの心を蔑ろにせずにするためにはどうすれば良いのか。
 私の解釈では真実は2つあり、裏にある本当の真実とその上に修飾した表となる黄金の真実がそれにあたる。
 そうなるとベアトの心は、その2つの真実に至ることを同時に叶えようとしていることになる。

 つまり、裏の真実を明白にしてしまえば表の真実を殺すことになるので、2つ同時に真実が存在できるように曖昧に答え合わせをしなければならなかった。

 ヤスを犯人とする同一説はミステリーで解けるもの。
 唯一解であるそれを裏とし、表を魔法説で飾られている。
 故に答え合わせでは、ヤスについて語られればそれで良い。

 ヤスを犯人とする同一説を表とし、その裏に本当の真実があるというものは、アンチミステリーで解くもの。
 故にヤスについて語られても、その裏で語られることで答え合わせとなる。

 つまり、真実と虚構を切り分ければ、それが答えとなる。

 幻想を暴き真実を明かすのではなく、幻想の解釈は幻想に、真実の解釈は真実に。
 簡単に言えば、幻は幻にでは表の真実、土は土にでは裏の真実を語っているという解釈。

 その解釈でウィルとクレルの問答を見てみる。


●第1のゲーム
『第1のゲーム、第一の晩。園芸倉庫に、6人の死体。』
『幻は幻に。……土には帰れぬ骸が、幻に帰る。』


 表の真実は、骸があるという幻想を暴けば、そこに骸はない。
 ならば裏は、そこに骸は確かにある。

『第1のゲーム、第二の晩。寄り添いし二人の骸は鎖で守られし密室に。』
『幻は幻に。……幻の鎖は、幻しか閉じ込めない。』


 表の真実は、チェーンによって密室になっているは嘘、犯人は外側にいて嘘をついた人物。
 ならば裏は、チェーンは確かに掛かっているため密室、犯人は中に閉じ込められている。

『第1のゲーム、第四の晩。密室書斎の老当主は灼熱の窯の中に。』
『幻は幻に。……幻の男は、あるべきところへ。』


 表の真実は、生きている金蔵は幻想、死体は最初から焼却炉の中に。
 ならば裏は、金蔵は生きていたまま、書斎から脱出した。

『第1のゲーム、第五の晩。杭に胸を捧げし少年の最後。』
『幻は幻に。……幻想の魔女と杭は、幻想しか貫けない。』


 表の真実は、嘉音と対峙した魔女はいない、故に杭に刺されたというのは嘘。
 ならば裏は、魔女は確かにいた、現実に殺すことができる。

『第1のゲーム、第六、第七、第八の晩。歌う少女の密室に横たわる3人の骸。』
『幻は幻に。……盲目なる少女が歌うは幻。密室幻想。』


 表の真実は、真里亞が語る密室は偽り、犯人は鍵を開けて扉から入ってきた。
 ならば裏は、真里亞の語る密室は本当、犯人は予め部屋の中に隠れて今正に侵入したかのように振舞った。


●第2のゲーム
『第2のゲーム、第一の晩。腹を割かれし6人は密室礼拝堂に。』
『幻は幻に。……黄金の真実が、幻の錠を閉ざす。』


 表の真実は、嘘が真実に成り代わり、錠が閉ざされていたと思い込まされた。
 ならば裏は、嘘ではなく真実、本当に錠は閉ざされていた。

『第2のゲーム、第二の晩。寄り添いし二人は、死体さえも寄り添えない。』
『幻は幻に。……役目を終えたる幻は、骸さえも残せない。』


 表の真実は、幻想である嘉音の役割は終わり、嘉音を演じていた者によって殺された。
 ならば裏は、嘉音は幻想ではない、死体は運び出された隠された。

『第2のゲーム、第四、第五、第六の晩。夏妃の密室にて生き残りし者はなし。』
『土は土に。……棺桶が密室であることに、疑問を挟む者はいない。』


 犯人は犠牲者の死体と共に棺桶の中、棺桶が密室であることに疑問を挟む者はいない。

『第2のゲーム、第七、第八の晩。赤き目の幻想に斬り殺されし二人。』
『土は土に。幻は幻に。……幻に生み出せる骸はなし。』


 表の真実は、殺したというのは幻想、故に骸はない。
 裏の真実は、骸はある、故に骸を生み出したのは幻ではなく現。


●第3のゲーム
『第3のゲーム、第一の晩。連鎖密室が繋ぎし、6人の骸。』
『幻は幻に。……輪になる密室、終わりと始まりが、重なる。』


 表の真実は、輪になる密室の終わりである紗音と始まりである嘉音が重なる。
 ならば裏は、輪ではない連鎖密室、終わりと始まりは重ならない。

『第3のゲーム、第二の晩。薔薇庭園にて親子は骸を重ねる。』
『土は土に。……語られし最期に、何の偽りもなし。』


 犠牲者の死亡と死因に偽りなし。

『第3のゲーム、第四、第五、第六の晩。屋敷にて倒れし3人の骸。』
『土は土に。……語られし最期に、何の偽りもなし。』


 犠牲者の死亡と死因に偽りなし。

『第3のゲーム、第七、第八の晩。夫婦二人は東屋にて骸を晒す。』
『土は土に。……明白なる犯人は、無常の刃を振るいたり。』


 裏には裏の犯人がいる。それは裏にとっては明白である。


●第4のゲーム
『第4のゲーム、第一の晩。食堂にて吹き荒れる虐殺の嵐。』
『幻は幻に。……黄金の真実が紡ぎ出す物語は、幻に帰る。』


 表の真実は、美装殺人の協力者が語る嘘の物語は、幻想である。
 ならば裏は、表の物語は黄金の真実、並び立つ幻想である。

『第4のゲーム、第二の晩。二人の若者は試練に挑み、共に果てる。』
『幻は幻に。……黄金の真実が紡ぎ出す物語は、幻に帰る。』


 同上。

『第4のゲーム、第四、第五、第六、第七、第八の晩。逃亡者は誰も生き残れはしない。』
『土は土に。幻は幻に。……虚構に彩られし、物言わぬ骸。』


 表の真実は、霧江が語る虚構に彩られた、物言わぬ骸。
 ならば裏は、表の真実という虚構に彩られた、物言わぬ骸。

『第4のゲーム、第九の晩。そして、誰も生き残れはしない。』
『土は土に。幻は幻に。……虚構は猫箱に閉ざされることで、真実となる。』


 表の真実は、魔法説は猫箱に閉ざされることで、真実となる。
 裏の真実は、表の真実は猫箱に閉ざされることで、真実となる。

『私は、だぁれ……?』
『幻は、幻に。……約束された死神は、魔女の意思を問わずに、物語に幕を下ろす。』


 表の真実は、金蔵が仕掛けた爆弾は、魔女の意志を問わずに、物語に幕を下ろす。
 ならば裏は、存在しないはずの18人目のXは、魔女の絶対の意志の下に、物語に幕を下ろす。


  1. 2014/03/08(土) 21:45:23|
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プロフィール

フラット・ホームズ

Author:フラット・ホームズ
「うみねこのなく頃に」の某公式サイトで推理を投稿していた。
その時使っていた名前は察してください。
スタイルは、アンチミステリーをチェス盤で引っ繰り返す、というもの。
キコニアでは、世界を箱庭に見立て、そこにどんな駒を置いたのか、それらを動かして最終的にどういう形に持って行くのか、的な感じのを主にやっている。

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